App Storeの牙城を崩せるか? ソフトバンク陣営BBSSが挑むiOS代替ストア「あっぷアリーナ!」の勝算と課題:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
スマホ新法施行を受け、BBSSがiOS向け代替アプリストア「あっぷアリーナ!」の提供を開始した。ゲーム特化のキュレーションやクラウド試遊、独自のポイント還元を武器に先行するApp Storeへ挑む。手数料の優位性は限定的だが、国内勢ならではの審査の柔軟性や独自タイトルの配信などで差別化を図る。
2025年12月に全面施行された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(以下、スマホ新法)により、代替アプリストアへの対応がApple、Googleの双方に義務付けられた。もともとAndroidはサードパーティーストアを利用できたため、大きな変更はなかった一方で、App Storeに限定されていたiOSはストア機能の開放を余儀なくされた。
「iOS 26.2」以降のOSは、代替ストアのインストールやデフォルト設定に対応している。開始直後から、「AltStore PAL」が日本向けのストアをオープンさせたものの、日本企業の動きは見えてこなかった。
このような状況の中、ソフトバンクグループのBBSSが、3月31日に「あっぷアリーナ!」のサービスを開始。日本市場やゲームに特化した代替ストアとして注目を集めている。その中身やビジネスモデルを読み解いていく。
レコメンド、クラウド試遊、ユーザー還元で特徴を出したあっぷアリーナ!
あっぷアリーナ!の特徴は、大きく3つに分かれる。1つは、日本市場とゲームに特化していることだ。App Storeには、ゲーム以外にも幅広いアプリが用意されており、アプリによっては日本語に対応していないこともあるが、あっぷアリーナ!のアプリは全てゲームで日本向け。今後は「日本のApp Storeに入っていないようなタイトルをうまく持ってくる」(BBSS R&D本部長 橋本雅斗氏)ことも視野に入れているといい、ラインアップで差別化を図る。
その上で、ユーザーへのレコメンドも強化する。代表取締役社長兼CEOの本多晋弥氏は、「今のアプリストアでは200万を超えるアプリが配信されているといわれており、上位のゲームが常にランキングを独占してしまうことがある」と話す。数が多く、お勧めできる仕組みが乏しいため、「ユーザーが本当に楽しいゲームに出会うのが、今のプラットフォームではなかなか難しい」(同)。
そこで、あっぷアリーナ!はまずアプリを厳選。その上で、ゲームメディアとのコラボレーションやストア内に記事を掲載するなどして、お勧めのゲームを積極的にレコメンドしていく。キュレーションを行うため、元ファミ通副編集長の大塚角満氏を起用し、それぞれのゲームの魅力を掘り下げる。App Storeでも近い取り組みはあるが、より深くしていくことで差別化を図る。
2つ目は、15分間の体験プレイを用意したことだ。App Storeで配信されるアプリの中には、ダウンロードを無料にし、体験した上でアプリ内課金を使って料金を支払うものもあるが、「昨今のゲームはアプリのデータサイズが大きく、ちょっと試すのに大容量で時間がかかる」(同)。契約している料金プランによっては、ダウンロードそのものを躊躇(ちゅうちょ)してしまうこともありそうだ。
これに対し、あっぷアリーナ!では、「クラウドを活用し、さわりの部分だけを落としていただき、フルサイズのゲームをダウンロードすることなく15分間だけ概要をお楽しみいただける」(同)。より手軽に体験できることで、ゲームの購入につなげていく考えだ。クラウドゲームを活用するという発想はApp Storeにはなかったもので、ここでも差別化が図られている。4月3日時点では2タイトルがクラウドでプレイできる。
3つ目の特徴は、ユーザーへの還元だ。BBSSは、デベロッパーから受け取った手数料の中から5%をユーザーに付与する。本多氏は「ゲームを楽しんでいただいたユーザーは課金額に応じてポイントがバックされ、そのポイントで新たなゲームを購入し、ゲームの中でより楽しんでいただける環境を作りたい」と話す。サービス開始当初は、ローンチキャンペーンとしてこの還元率を10%まで高める。
App Storeは既に200万を超えるアプリがあり、iPhoneにプリインストールされているため、ユーザーへの訴求力が高い。逆に、代替アプリストアはストア自体をインストールしなければならず、認知度の獲得がハードルになる。これに対抗するため、あえてアプリを厳選し、お試しを重視させつつ、ユーザーへの還元も手厚くするというのがBBSSの戦略だ。また、App Storeにはない海外製のゲームも、提携したポルトガルのAptiodeを通じて増やしていく。
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