シャープがウェアラブルに本格参入 摂取カロリー計測ウォッチと2.1gの超軽量リング「からだメイト」の真価(1/3 ページ)
シャープは、同社初となるスマートウォッチやスマートリングなどのウェアラブルデバイスを発売し、ヘルスケアアプリを刷新した。スマートウォッチは独自の技術を用いて摂取カロリーや体内の水分バランスを自動で推定する。スマートフォンとの連携機能や将来的な企業向けサービスの展開も視野に入れる。
6月16日、シャープはスマートフォンの新ハイエンドモデル「AQUOS R11」と同時に、同社初となるウェアラブルデバイスであるスマートウォッチ「からだメイト Watch」およびスマートリング「からだメイト Ring」を発売し、あわせてヘルスケアアプリ「からだメイト」を刷新することを発表した。
通信事業本部 本部長の中江優晃氏は「デバイスで何ができるかではなく、それによって人がどう変わるのか。人が持つデバイス、人が日々使うデバイス、そして人自身の状態。これらを一体で捉え、人に寄り添う体験として設計していくことだ」と話し、人を中心に考える新しいライフスタイルの提供を目指していると意気込んだ。
販売は7月9日より順次開始し、販路はNTTドコモやソフトバンクなどの通信事業者、家電量販店、MVNO、そして同社の公式オンラインストアであるCOCORO STOREなどだ。価格はオープン価格となっているが、COCORO STOREにおける税込の販売価格は、スマートウォッチが5万9400円、スマートリングが4万1800円となっている。
からだメイト Watchの摂取カロリー測定は約89%の精度を誇る
スマートウォッチであるからだメイト Watchは、ただ歩数や心拍数を測るだけのありふれたデバイスではない。最大の特徴は、食事で摂取したカロリーを自動で測定できる点にある。通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の川井健氏は「カロリーは気になるけどなかなか管理できないという方も多いのではないだろうか。このからだメイト Watchはただ着けているだけ、誰でも簡単に管理できる方法で提供する」と述べる。
この画期的な機能は、米国のHEALBE Corporationが提供する特許技術FLOWテクノロジーを活用することで実現した。HEALBE Corporation 代表取締役のArtem Shipitsin氏はビデオメッセージで「われわれの特許技術であるFLOWテクノロジーは、多周波生体インピーダンス分光法を使用している。細胞内および細胞外空間の流体力学を測定する。高周波電流は全ての組織を通過するが、低周波電流は細胞の外側だけを移動する。これらのデータにより、リアルタイムで水分補給レベルと浸透圧の変化を評価でき、手動入力なしで水分補給レベルと吸収されたカロリーの完全自動評価が可能になる」と説明している。
人が食事をして栄養が体内に吸収されると、糖(グルコース)が変化し、それに伴って細胞の組成や体内の水分バランスが変化する。この変化を独自のアルゴリズムで解析することで、ユーザーが手動で食事内容を入力しなくても、どれくらいのカロリーが体内に吸収されたかを自動的に推定できるのである。
カロリー推定値の精度は約89%を誇るという。日本の食品表示基準においてカロリー表示には20%の誤差が許容されていることを踏まえれば、十分に参考になる数値といえる。川井氏は「例えばお弁当に500kcalと書いてあったとしても、その吸収量は人それぞれ異なる。この技術は実際に摂取したカロリーを見極めてくれる、パーソナルなカロリー測定という言い方もできるのではないか」と話す。
これにより、従来のスマートウォッチで計測可能だった運動などによる消費カロリーに加え、食事による摂取カロリーも可視化されるため、ユーザーは日々のカロリー収支を簡単に把握できるようになる。
摂取が多めなら運動を増やす、消費が多ければ食事を見直すといった具体的な行動のきっかけを得ることができる。川井氏は「日々のカロリー収支が分かるようになることで、今日は頑張って一駅分歩いてみる、消費が多かったから今日はラーメン替え玉を頼んでも大丈夫など、生活に小さな変化や楽しみを作り出していく」と語る。
体内の水分バランスも測定 知りたい情報を先回りで表示するUIも
また、からだメイト Watchは体内の水分バランスもモニタリングする。単に飲んだ水の量を手入力するのではなく、細胞の液体レベルを測ることで一人一人の適正な水分量を学習し、水分補給が必要なタイミングで音と振動によるアラートを発する。
川井氏は「飲んだからといってそれが足りているのか足りていないのかは分からない上に、入力も忘れがちになる。この問題も特別な技術で解決する。まず細胞の液体レベルを測り、水分状態のその人の基準というものを学習する」と述べており、意識的に水を飲む習慣が身につき、暑い季節や運動時における適切な水分補給が可能となることをアピールする。
さらに、独自のユーザーインタフェースであるサーキットビューも大きな魅力である。起床時には睡眠時間やその日の天気、日中は歩数や心拍数、消費カロリー、夜には翌日の予定など、ユーザーがその時間帯に最も必要とする情報を自動的に切り替えて画面に表示する。
川井氏は「取得した情報はお客さまが常に意識していただくことこそ価値があると思う。サーキットビューは、その人がそのとき知りたいであろう情報を先回りしてウォッチの画面に流す。操作すらせずに知りたいことが分かる」と語る。ユーザーが自ら操作して情報を探しに行く手間を省き、自然と目に入る情報が生活習慣の見直しを促す仕組みだ。
本体はIP6X相当の防塵(じん)性能と、5気圧(5ATM)およびIPX8相当の防水性能を備え、国内メーカー製の家庭用泡タイプのハンドソープでの洗浄にも対応している。ステンレス素材とCorning Gorilla Glass 5を採用したシンプルなフォルムは、ビジネスからカジュアルまで幅広いシーンで活用できるデザインに仕上がっている。市販の20mm幅の腕時計用ベルトにも対応しているため、好みのスタイルを楽しむことも可能だ。
からだメイト Ringは睡眠計測に適したデバイス 軽さや電池持ちに注力
一方、スマートリングのからだメイト Ringは、画面を持たず、ユーザーの体の状態を測ることに特化したサイレントなデバイスだ。
「スマートウォッチが運動計測に適したアクティブなデバイスであるとするならば、スマートリングは睡眠計測に適したサイレントなデバイスだ」と通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 課長の田中陽平氏は述べる。「画面を持ちインタラクティブな操作を提供するウォッチと、ただひたすらに体の状態を測り意識すらさせないリング。この非常に対極的なデバイスをお客さまの用途に合わせて用意した」(同氏)
日本のSOXAIのセンシング技術を活用し、加速度センサー、光学式心拍センサー、血中酸素レベル用赤色および赤外線センサー、皮膚温度センサーという4つの高精度センサーを搭載している。これらにより、心拍数や皮膚温度、歩数、そして睡眠の状態などを自動で計測する。
からだメイト Ringの最大の強みは、装着していることを忘れさせるほどのストレスフリーな設計にある。幅6.7mm、厚み2.8mmというコンパクトなサイズで、重量はわずか2.1gから3.1gに抑えられている。指にしっかりフィットするため、就寝時でも違和感なく装着を続けられる。田中氏は「このリングは寝ている時ですらデバイスを身につけていることを忘れさせてくれる。そのためにウォッチに匹敵する多くのセンシングを可能としながらもこの小さいボディーを実現した」と語る。
バッテリー性能も高く、1回の充電で最大14日間の連続駆動が可能とする。電池残量を気にし続けることや毎日の充電の必要がないので、データの記録漏れを防ぎ、長期的な健康管理を無理なく継続できる。バッテリー残量が少なくなると、連携するスマートフォンに通知が届く仕組みも備わっている。
耐久性にも優れており、本体外側にはチタニウム素材を採用し、シチズン時計の表面硬化技術であるデュラテクトコーティングが施されている。傷がつきにくく、IPX8(水深100m相当)の防水性能やIP6Xの防塵性能を備えているため、家事や入浴、ワークアウト、さらには海水浴などでも装着したまま過ごせる。田中氏は「高い防水性能に加え、ハンドソープ、アルコール消毒、海水に至るまで日常から非日常に至るまであらゆるシーンに耐える」とアピールする。
カラーバリエーションはゴールドとシルバーの2色で、サイズは4号から13号(USサイズ)までの10種類を展開する。正確なデータ取得のためには指にぴったり合うサイズを選ぶことが重要であり、専用のサイジングキットも用意されている。
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