転売屋によるスマホ回線の「短期解約」「ホッピング」 総務省の検討する対策は十分なのか? 店員からの意見:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/2 ページ)
携帯電話回線を短期で解約したり事業者変更したりする事案について、総務省の有識者会議で対策が検討されている。有力なのは「特典の分割供与」案なのだが、携帯電話販売店の店員から見て、この議論はどうなのだろうか?
総務省の「ホッピング対策」はどう考えている?
ここまで話を聞く限り、契約という“入口”ではホッピングを防ぐすべはないようだ。総務省が割引/還元を最長1年間の分割で提供することを認める方向で議論を進めているのは、ある意味で入口での対策が難しいことの裏返しで、“出口”で防ごうとしているのだ。
この議論について、販売店の店員はどのように考えているのだろうか。
現状で提供している割引や還元の多くは、事業者から入ってくるインセンティブ(販売奨励金)を原資としています。インセンティブなのですが、短いもので契約月込みで2カ月、長いと半年〜1年間の継続利用が求められます。要するに、販売店では本当に入るかどうか分からないインセンティブをあてにして割引や還元をしているケースもあるのです。
ホッピングをされて店にインセンティブが入って来ないと“赤字丸かぶり”となってしまうわけですが、一定の“縛り”を設ける方向はメリットがあると思います。一方で、最長1年の縛りとなると、最短即日、そこまでしなくても3〜6カ月周期で買いにくるお客様さまが大きく減る可能性があるので、販売目標の達成に悪い影響が及ばないかという不安もあります。
今議論になっているルールがそのまま導入された場合、それで販売台数が落ち込むとそれはそれで「ホッピング目的の人が主な顧客だった」といった“烙印(らくいん)”押されてしまうような機もするんですよね。議論中のルールが導入されちゃうと、割引/還元か施策を“やりづらく”なってしまう店舗が案外多いかもしれません。
総務省で検討しているルールは、一部の短期解約を繰り返す人には間違いなく効果があると考えます。ただ「賢い」人は「今月はこの番号でMNP、来月はあの番号でMNP……」みたいな感じで計画的に回線を“転がして”います。
家族の契約(回線)も使って繰り返し特典を得ようとする人もいますから、単純に「最長12カ月間縛ったからOK」とは行かないのかなと思います。
ホッピングのような利用目的のない、割引や還元を目的とした契約者を排除したいのであれば、回線契約の審査をもっと厳格化するとか、入口段階で防ぐ方法を考えないと無理じゃないですかね。
事業者を含む上役から「利用目的のない契約だとわかったら断りましょう」といったことを言われることもありますが、「あなた使うつもりないでしょ?」的なことをお客さまに言えるわけないですし、販売目標を考えたら「目の前の1台」を逃すことの方が怖いです。
これを是正してくれないと、出口をふさいだところで抜け道がありますよ。
総務省が検討しているホッピング対策については、肯定的な意見もある一方で、事業者から提示される「販売目標」による弊害や、「賢い」買い方をする人への対策不足を指摘する人もいた。
ホッピング対策はまだまだ“甘い” より現実に則した対策が必要
複数の店員から話を聞いていて、筆者は「ホッピング行為への対策は、現在議論されている内容だけでは不十分ではないか」と感じた。
長期契約者、あるいは特典を受けていないユーザーとの“公平性”を保つためにはホッピング行為を禁止、あるいは大きく制限する対策が必要なのは論を待たない。しかし、 販売店(代理店)におけるノルマ設定が「販売(契約)台数」主体である影響で、ホッピング行為を“黙認”することで販売台数を維持する動きがあることを鑑みると、事業者による「販売目標の設定方法」「インセンティブの供与方法」の見直しも必要だと思われる。
仮にホッピング対策が現行案の通りに進んだとして、それを無視する形で今まで通りの目標設定/インセンティブ供与を行っていては、携帯電話販売店をさらに淘汰(とうた)してしまうことにつながりかねない。
「携帯電話はオンライン契約でいいのでは?」という人もいるが、そういう人に限って販売店で相談しながら携帯電話を買っている(契約している)人が少なくないという現実が“見えていない”。
ユーザー体験(UX)的な意味で販売店網を維持/発展させるためには、短期解約/ホッピング対策における“入口対策”はもちろん、事業者による目標/インセンティブ設定の見直しも欠かせない。
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