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KDDIローミング終了後も万全? 楽天モバイル幹部が明かす「ネットワーク強化」「衛星通信」の現在地(2/2 ページ)

楽天グループのイベント「Rakuten AI Optimism」にてモバイル関連のパネルディスカッションが開催された。役員陣が登壇し、エコシステムとの連携、AI活用、衛星通信、KDDIローミングの展望について語った。完全仮想化やOpen RANによるコスト削減を強みに、AIと最新技術で通信品質の向上を目指すとしている。

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「Rakuten最強衛星サービス」は2026年内開始に向け「最後の詰め」

 2026年内に開始予定のスマートフォンと衛星の直接通信サービス「Rakuten最強衛星サービス」について、矢澤氏は他社サービスとの明確な違いに触れる。

 「ASTのアンテナは(Starlinkなど)他社に比べて30〜40倍ほど大きく、ビーミング能力が非常に高いのが特徴。他社がSMS程度にとどまるのに対し、われわれは山や海などあらゆる場所でブロードバンド通信を提供できる」と述べ、衛星経由でも高速通信できることをアピールした。

 気になるサービスの開始時期について矢澤氏は「現在、最後の詰めに取り掛かっており、今年(2026年)内に開始できるよう全力を尽くしている」と述べた。

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山間部や離島で高速通信が可能になることを目指す「Rakuten最強衛星サービス」

 なお、イベント会場の楽天モバイルブースでは、Rakuten最強衛星サービスをより身近に感じられるよう、ARを用いて、ASTのアンテナの大きさを体感できるデモを実施していた。

 iPadでアンテナを模した紙を撮影すると、アプリ上にアンテナが現れ、実際のサイズが約223平方メートルであることや、人間約608人分、車22台分、テニスコート約1コート分であることが表示される。さらに、「リアルサイズにする」をタップすると、実寸大のアンテナが表示され、iPadを天井に向けてかざすと、あたかも上空に巨大なアンテナが浮かび上がっているように見える。

 この巨大アンテナで通信できる日が待ち遠しい。

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楽天モバイルブースでは「最強衛星AR」と銘打ったデモを実施
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備え付けのiPadでASTのアンテナを読み込むと、画面上のアンテナが浮かび上がる
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人間だと608人分に相当する大きさとなる
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原寸大にして表示することもできる。iPadからの距離も調節でき、画面上では22メートル離れた場所での表示となっている

KDDIローミングは「ユーザーのご迷惑にならないよう」調整

 当初は2026年9月末が終了予定となっているKDDIとのローミングについて矢澤氏は「KDDI様とは真摯(しんし)に協議を重ねている。今までローミングを提供してくださって感謝しているし、KDDI様の作ったネットワークの精密さはすごいと思っているので、どこかのタイミングでお話ができると思う」と述べる。

 「でも9月で終わるのでは?」という石川氏の問いに対し、矢澤氏は「お客さまにご迷惑にならないことをKDDI様にも理解いただいている」と含みを持たせながら回答した。もちろん、ローミングがどういった形になろうと、ネットワークを強化する姿勢は変わらず、「終わりはないので、先行する3社はいるが、ナンバーワンを目指していく」と矢澤氏は力を込めた。

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ローミングの動向について突っ込む石川氏

 このイベントの数時間後に開催された7日のKDDI決算会見と、8月10日の楽天グループ決算会見では、2026年10月1日以降のローミングについては、地方や山間部などのエリアでは、ローミング継続を視野に入れていることが明かされた。さらに8月12日には、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が、一部エリアで2026年10月以降もローミング継続をすることをX公式アカウントで発信するという異例の事態になった。それほどまでに、ローミングの行方が多くのユーザーから注目を集めていることが分かる。

ネットワークの「シンプル化」とAI自動運用で低料金を維持

 競合他社が値上げへとかじを切る中、楽天モバイルはいまだ値上げを行っておらず、現行の料金を継続する方針だ。同社はなぜ低価格を維持できるのか。その技術的・構造的理由について、CTOのシャラッド氏は、一言で言うなら「シンプル化」だと説明する。

 ネットワークのハードウェアとソフトウェアを分離した完全仮想化技術と、異なるメーカーのネットワーク装置を運用できるOpen RANを採用したことで、クラウド、OSS(オペレーション支援システム)、ネットワークをシングルレイヤー化(単一階層化)することで大幅なシンプル化を図れたという。

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完全仮想化やOpen RANについては、立ち上げ当初から信念を持って取り組んでいたと話す、シャラッド・スリオアストーア氏

 この構造により、現場に毎回エンジニアを派遣する必要がなくなり、設備投資費を約40%削減、事業運営費を約30%削減するという、大幅な運用コスト削減を実現している。

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ネットワークの仮想化とOpen RANによって、設備・運用コストを大幅に削減できた

 ネットワーク運用におけるAI活用について、シャラッド氏はAIでRAN(無線アクセスネットワーク)を制御する「RIC(RAN Intelligent Controller)」などの事例を挙げた。

 「現在、ネットワーク上で7つのAIアプリが稼働しており、約20%の効率化を達成している。例えばある基地局で問題が発生した場合、人の介入なしに近隣の基地局が自動でアンテナの角度を変えてカバー、自動復旧を行う。また、自律型ネットワークの導入により、加入者が増加してもネットワーク運用の人員を1人も増員せずに対応できるのが大きな強みだ」

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AIを活用してネットワークを制御する「RIC」
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ある基地局で問題が起きても、自動でアンテナの角度を変えることで復旧を試みる

 Open RANの導入当初は業界内から懐疑的な声もあったが、現在ではグローバルで他のベンダーも採用している。「6G時代にはオープンランがデフォルトになる」とシャラッド氏は自信を見せる。

 それでも、電気代の高騰など、ネットワークに依存しない部分でのコストも増大しているが、「先端テクノロジーを使うことでコストを下げられる」とシャラッド氏は自信を見せた。言葉通りに受け取るのなら、楽天モバイルはコスト増のインパクトをOpen RANやAIで軽減しており、楽天モバイルの料金プランが値上げされる心配はなさそうだ。

 セッションの終盤、今後の注目ポイントについて鈴木氏は「AIの融合」「衛星通信サービスの始動」「最新テクノロジーを基盤としたネットワークのさらなる進化と拡張」の3点を挙げ、引き続き楽天モバイルの挑戦に注目してほしいと呼びかけた。

 石川氏は「AIの力によってネットワークのコストが抑えられているという話は非常に頼もしい。強い経済圏とのシナジーを含め、第4のキャリアとして業界に緊張感を与え続けてほしい」と期待を寄せた。

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