ドコモの銀行が“メガバンク級の成長”を描くワケ ドコモショップの無料サポートが果たす役割
ドコモ・フィナンシャルグループとドコモSMTBネット銀行は8月21日に記者説明会を開催した。両社は同日から全国のドコモショップ196店舗で「ドコモの銀行」の口座開設や各種設定の無料サポートを開始する。対面サポートによりデジタルに不慣れな利用者を支え、メガバンクと同等規模への成長を目指す。
NTTドコモ・フィナンシャルグループとドコモSMTBネット銀行は、8月21日にドコモショップ丸の内店で小規模な記者向け説明会を開催した。両社は同日から、ドコモSMTBネット銀行が個人向けに提供する「ドコモの銀行」の口座開設やスマートフォンにおける各種設定を無料で行う「ドコモショップ」でのサポートを開始する。
サポート店舗であることを外から視認できる「のぼり」などを除き、基本的には初期のサポート対象店舗である196店舗で、サービス開始に合わせて店頭掲出物の設置を開始した。利用者が店内で気付きやすいよう、携帯電話端末の展示ブースやその端など、利用者の目の届きやすい場所に専用のポスターを掲示している。
ドコモショップでの「ドコモの銀行」サポート開始に合わせて開催された説明会でポスターを手に意気込みを示す関係者ら。写真左から、ドコモショップ丸の内店の杉野泰央店長、ドコモSMTBネット銀行の円山法昭社長、NTTドコモ・フィナンシャルグループの廣井孝史社長
両社が掲げる「やさしい金融をみんなの手にする」という方針の実現を目指す。
この新たな取り組みの始動にあたり、NTTドコモ・フィナンシャルグループの廣井孝史社長は説明会で「デジタル金融の統合サービスがいよいよスタートした。決済、銀行、証券、保険などを連携させてデジタル金融サービスをトータルで提供していく」とあいさつした。廣井氏は、決済をすれば現金を充当する必要があり、それを定期預金に預けたり、余ったお金は運用や保険に回したりするため、中核的な銀行サービスは極めて重要だと、その狙いを説明した。
トータルで金融サービスを展開する上で、廣井氏は全国に展開するドコモショップというリアルな店舗が、デジタルに不慣れな利用者を支える強力なチャネルになると考えている。
廣井氏は「デジタルのみでは一般の利用者の中で難しいと思われる方が多い。特に金融なので安心感や納得感が必要だが、店舗には携帯サービスの中で接客のスキルを蓄えたスタッフがいる。お客さまの目線に合わせて説明し、その場で疑問を解決することで安心感を与えることができる。これはデジタルでは代えられないものだ」と語り、対面サポートならではの強みをアピールした。
ショップ店員へさまざまな研修を実施して習熟を積み重ねてきた
廣井氏が強みとして挙げる店舗での対面サポートを実現するため、実際の店頭ではスタッフの受け入れ体制構築と教育が急速に進んでいる。
利用者が店頭で手続きにつまずくことなく完了できるよう、ドコモショップ丸の内店の杉野泰央店長は「ドコモの銀行に関する知識の習得や、お客さまへのご案内方法、そういったことはもちろんのこと、コンプライアンスやマネックス証券が提供するサービスとの連携の内容について、さまざまな研修を通して習熟を積み重ねてきた。お客さま一人一人に寄り添いながら、しっかりと向き合い、お答えできるような体制を積み上げて臨んでいる」とした。
このスタッフ研修は、フランチャイズ店舗も含めてライセンスを保有しサポートを提供する店舗の全スタッフが事前に参加した。研修の具体的な内容について、NTTドコモ広報は「期間は3日や4日ではないが、一定の時間をかけている。ただボタンを押していけばいいというものではなく、間違えやすいところもあるため、動画もテキストも用意して実施した」と明かす。
また、ドコモSMTBネット銀行の円山法昭社長は「銀行としても数十名規模でドコモショップのサポート部隊を作り、全店をサポートする。われわれの住宅ローンで培った代理店フランチャイズ運営のノウハウを十分に実現できる」と話し、店舗と銀行が一体となってサポート品質を担保する体制を整える。
dカードを起点に金融サービスの提案を進める
店舗における提案の具体的な流れについて、ドコモ広報は「基本的な流れはdカードだ。dカードは通信料金を払うと約10%のポイント還元などがあるため、昔からお得なものとして一緒に提案している。そこでさらに引き落とし口座を新しく作っていただける、もしくは口座がない方が新たに作ってもいいという方は一定数いるため、まずそこがメインになる」と話す。
なお、「『ドコモスマホ教室』において、銀行に関する専門講座を開いて案内することは予定していない」という。
こうした「dカード」を起点とする提案に合わせ、両社はドコモの銀行とdカードの利用者を対象にした、dポイントがたまる「ドコモの銀行引落特典」を用意した。この特典は、利用者がドコモの銀行からdカードの利用料金を引き落とす際にポイントを付与するものだ。特典の対象となるのは、イチゴ支店やブドウ支店、ミカン支店など、同銀行が指定する特定の複数の支店に口座を持つ利用者に限る。また、8月20日からはドコモの銀行と「dアカウント」の連携機能の提供も始まっている。
オープンスペースの窓口で個人情報は漏れない?
お得な特典がある一方で、利用者が店頭でサポートを受ける際、お金という機微な情報を扱うことから、周囲の利用者に手続き内容や個人情報が知られてしまうのではないかというプライバシーへの懸念がある。
店舗では銀行サポート専用の特別な個別ブースや仕切り付きのスペースを新設するわけではない。プライバシーへの配慮について、ドコモ広報は「そこは銀行に限らない。プライバシーの観点でいうと、逆に携帯電話の方が住所から何から全て聞くし、マイナンバーなども聞く。そのため、基本はもちろん暗証番号などは見せないし、筆談なども行う。既にプライバシーに配慮した状態でオペレーションを行っている」と説明する。
メガバンクと同等の規模にまで成長できると確信している
では、「対面サポートの開始によって、どれほど大きな成長や未来を描いているか」を見ていこう。
デジタル金融サービスの拡大において極めて大きな意義を持つこの取り組み。円山氏は「ドコモショップでわれわれのサービスが扱えることは大きな飛躍だ」と期待を寄せ、かつて住宅ローン事業においてリアルの店舗網を活用して成長を遂げたことを明かす。
さらに、「圧倒的にリアルの力。ネットが5%、リアルが95%という圧倒的なリアルの力でわれわれは成長した。デジタルで優れているのは当然として、リアルの力を組み合わせることでメガバンクを超える規模に成長するという実体験がある。一方で、これまで預金口座ではリアルの展開ができていなかった」と、課題を分析する。
このリアルの力を預金口座の獲得にも適用することで、ドコモSMTBネット銀行は急速な事業拡大を見込む。「ドコモショップで展開することにより、メガバンクと同等の規模にまで成長できると確信している。現在の交渉状況から見て、約1年半で1500店舗まで拡大できる手応えがある」と円山氏。サポート対象店舗は196店舗から開始し、早期に1000店舗へと拡大する計画だが、5年以内で1500店舗以上にするという当初の目標を上回るペースでの展開を見据えている。
このように全国へ拡大していくサポートを実際に利用者が受けるためには、事前の予約が必要となる。利用者は予約を専用サイトから行うことができ、当日は自身が使用するスマートフォンと、マイナンバーカードや運転免許証といった本人確認書類のいずれか1点を持参する。今後のサービス展開について、廣井氏は「ドコモの銀行で今度はマネックス証券との連携機能も提供開始していく」と将来の展望を語った。
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