News 2002年6月26日 11:41 PM 更新

ロボカップ総括
北野博士などのコメントを紹介

Robo-Cup2002閉幕後、大会を総括する記者会見が開催された。運営委員各氏のコメントを紹介しよう

 「RoboCup-2002」閉会後、大会運営委員会による記者会見が福岡ドームのとなりのシーホークホテルで開かれた。5日間にわたって熱戦が繰り広げられたRoboCup-2002を総括した、各氏のコメントを紹介しよう。

 本大会の意義、成果、今後の展望について、ロボカップ日本委員会会長浅田稔氏から。    「6回目の大会、日本では2回目、ワールドカップと同時期というロボカップでしたが、いろいろな意味でロボカップ始まって以来の大きな大会になりました。また、11万7000名という多くの一般市民の前でロボカップを開催できたということにも大きな意味があります。従来も一般公開はしていましたが、これほどの市民の前でというのは初めて。子どもたちが目をらんらんと輝かしてロボカップに見入っているのは素晴らしいと思います。ある女の子などは、研究者にちゃんと英語で話しかけるなど、積極的な姿勢も見られました。チーム、参加者としても、多くの人々の前で競技ができるというのはやりがいがあります。ロボカップスピリットとして、参加者同士で知識を共有することになっていますが、今回はそれが市民ともできたというのが大きいと思います。最大規模の大会で、大成功でした」

 次に、ロボカップ2002福岡実行委員会運営委員長の松原仁氏。

 「ボランティアの方々が本当に積極的に参加してくださいました。ロボットのことを学んで、それを観客のかたに説明していただいたりして。選手も“説明がわたしよりうまい”と感激していました。やはり、多くのかたに来ていただいたというのが最大のポイントですね。今までも、夢を共有すると言って一般に公開はしてきたんですが、正直言ってこれほどの人に集まってもらえることはありませんでした。やはり人間、“ウケる”とやる気が出ますから」

 続いて、ロボカップ国際委員会委員長の北野宏明氏。

 「今回の成功で、新しいロボカップの枠組みができたと言えます。ロボカップは、ロボットの競技会ではありますが、研究者としては“ロボットが動いておもしろかった”以上のことを伝えていきたい。ただ、観客が12万人という規模になると、今までの方法ではもう無理かもしれない。今後、いろいろな意味での、ロボカップの組織体制の強化をしていかなくてはならないでしょう。研究者だけではなく、企業なども加えて。でも、あんまり官僚的にはなりたくない(ここには役人のかたもたくさんいますが)。悪い意味での官僚的ではなく(今回は本当にフレキシブルでしたが)、強いけれど堅くはない組織にしていきたい」

 次に、開催市市長として、山崎広太郎福岡市長のあいさつ。

 「ロボカップの福岡大会を2年ちかく追いかけてきたわけですが、非常に夢のある大会であったと思います。12万近い皆さまに見に来ていただいて最新のロボット技術に直接触れていただいた。子どもたちは食い入るように会場を回っていたのが印象的でした。ロボカップの理念と精神を福岡に定着させるために、福岡市は福岡市科学技術振興ビジョンという街作りを行うとともに、ロボスクエアというロボットの広場を福岡都心(博多リバレイン)に7月20日に開設します。大会当日にいたるまで、なんども福岡に足を運んでいただいた先生方に感謝するとともに、これからもロボカップが発展するように心から応援していきたいと思います」

 最後に次期(2003年)ロボカップ開催都市パドヴァ市(イタリア)を代表してエンリコ・パジェロ氏。

 「次回のロボカップがパドヴァ市で開かれるということを、ここでお伝えできるのは、非常に光栄なことです。パドヴァ市は、中小企業が数多く立地していて、工業化・ハイテク化が進んでいます。開催にあたって、8000〜1万平方メートルの広いスペースを、ロボカップの会場並びにカンファレンスのために用意する予定です。ぜひ、イタリアを楽しんでもらいたい」

 この後Q&Aセッションとなり、福岡での成功の理由として、ボランティアが主体的に参加してくれたこと、そして「博多っ子の祭り好き」という要素があげられていた。

 なお、ロボカップ2002福岡実行委員会事務局長の蒲池信義氏から、大会実績が下記のように報告された。

参加国数:29
参加チーム:188
参加人数:1004

入場者数
6月19日:5884(非一般公開日)
6月20日:18500
6月21日:21000
6月22日:34000
6月23日:38000(見込み)
合計:117300(見込み)

大会運営要員数(延べ)
実行委員会職員:140
支援職員:770
ボランティア:616

メディア関係者数(延べ) 機関数:105(うち海外は24) 人数約:1000 (うち海外は31)

関連記事
▼ 研究者と企業との交流を〜ROBOTREXレポート
▼ RoboCup-2002閉幕 初代ベストヒューマノイドは「NAGARA」
▼ 盛り上がりは韓国戦以上? 高度な戦術を使う中型リーグ――RoboCup-2002
▼ 「RoboCup-2002」開幕 ASIMOがVゴール!
▼ 「AIBOリーグ」はハイレベル! RoboCup-2002
▼ 期待の「ヒューマノイドリーグ」……はまだまだこれから

[こばやしゆたか, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.