News 2002年11月8日 01:36 PM 更新

松下電器に聞く「記録型DVD、今後の展開」(2/2)


前のページ

 例えば、従来から付属していた同社製DVD-RAM/Rレコーダで記録した映像の編集が行える「DVD MovieAlbum」の機能を強化。ソニックソリューションズのMyDVD 3.5と連携するようにしたことなどがそうだ。

 DVD-MovieAlbumは、DVD-Video Recording Format(DVD-VR)で録画された映像を編集できるだけでなく、AVIファイルなどをDVD-VR形式で取り込める、MyDVDを直接呼出し、そのままDVD-Videoの作成が行えるようになった。「これまで、DVD-Videoの作成は難しいというイメージがありました。それがDVD-MovieAlbumとMyDVDの連携によって驚くほど簡単にできます」(長谷川氏)。

 また、付属するライティングソフト「B's Recorder GOLD5」を使用すれば、DVD-RAMメディアに対するベリファイレス記録を行うことも可能だ。「DVD-RAMは、これまでベリファイがあるから遅いと言われてきましたが、この機能を使えば、従来の2分の1の時間で書き込みを行うことができます」(長谷川氏)。

 加えて、「DVD-RAMは、ベリファイレスでも、記録中にアドレスエラーや制御エラーの検出が行え、交替処理を行うことができるので安心して使用できる」(長谷川氏)という。

「高速化と部品共通化によるコストダウンを……」

 松下電器産業は、DVD-RAMとDVD-Rの2つの規格に対応する記録型DVDドライブ(DVD-RAM/Rドライブ)を比較的早い時期に安価に提供。PC用のドライブとしてだけでなく民生用の組み込みドライブとしても市場を席巻した。このことは記憶に新しい。

 中でも、民生のレコーダ用組み込みドライブは、同社の「DMR-E30」やHDD&DVDレコーダ「DMR-HS2」などに採用されているだけでなく、東芝のHDD&DVDレコーダなどでも採用されるなど、トップシェアにある。


HDD&DVDレコーダ「DMR-HS2」


今春発売のDVDレコーダ「DMR-E30」

 そんな同社の今後の取り組みは、どういうものだろうか。この点について岡崎氏は次のように話す。

 「DVDフォーラムでDVD-RAMの3倍速、DVD-Rの4倍速の規格が今年できている。日程的には未定だが、(PC用の製品はついては)高速化は順次やっていく予定。トレンドとしては、CD-R/RWの時と同じでしょう」(岡崎氏)。

 加えて、民生用の製品については、現在と同様に今後も民生用とPC用のドライブを作り分けていく予定。基本的に現在と同じDVD-RAM/Rで十分だと考えている。ただし、技術や使用する部品は、PC用と民生用で共有できるものは共有し、コストダウンを図っていきたい」とし、「(民生用の製品の)高速化については現在のところ未定」という。

 接続に使用するインタフェースについては、「外付け用としては、前の製品では、IEEE1394を使用していましたが、今後は、マザーボードの標準サポートのことなども考え、USB2.0で行きたい」(AVCネットワーク事業グループ 技術統括センター 先行開発グループ DE9チーム 主席技師 上田明良氏)と話していた。

 また、最近になって安価なDVD-Rメディアが登場し、その品質が問題になっていることについて触れ、「同じ(DVD-Rの)ロゴを付けていながら、スペックを満足していないメディアというのは、少なくとも今後は、改良しないとロゴをはく奪するなどの措置をとるべきではないか」と岡崎氏は話す。

 「(DVDは)CDと違って、DVDフォーラムというのがある。警察権力というわけではないが、そういったメディアメーカーに対して厳しい措置をとるよう、現在DVDフォーラムに働きかけているところ」(岡崎氏)。


品質の低いDVDメディアの存在は、大きな問題の1つ。例えば、某台湾メーカーのDVD-Rメディアをエラーチェッカー(DVD CATS)にて計測した結果がこれ。グラフは、CDでいうところのC1エラーに相当するPIエラーのグラフ。DVDでは、8連続ECCブロック中で訂正できたPIエラーを「PI8」として規定しており、その最大数は280以下と決められている。このメディアは、280を大きく超えてしまっている

関連記事
▼ 松下、DVD Multiドライブ発表
▼ ついに出荷が始まるDVD Multi対応ドライブ
▼ マイクロソフトと松下、デジタルメディア新規格「HighM.A.T.」を発表
▼ 「AVCサーバー」が示す松下電器のユビキタス戦略
▼ 松下、PCカードスロット搭載HDD&DVDレコーダー
▼ 松下、9万円台のDVDレコーダー

[北川達也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ