| News | 2003年9月29日 03:09 PM 更新 |
「現在、米国ではHDTVはほとんど普及していません。しかし、今年からHDTVコンテンツの増加が目立っており、CATVのデジタル化などと共に、将来はHD規格のデジタルテレビへの移行が進むことでしょう。しかし、それには数年が必要です」
「現在のPCは完全にセキュアなものではありません。しかし、HDTVのサポートが必要になる頃には、PCはコンテンツ提供者から信頼されるプラットフォームへと脱皮しています。われわれはそれを目標に開発を続けています。もちろん、非常に難しいテーマではありますが、コンテンツ保護技術に継続的な投資を行っています」
「例えば、Windowsの著作権管理機能は、コンテンツ提供者がコンテンツの扱いをどのようにするのか、非常に細かく決めることが可能です。シームレスに見えない形で、ユーザーが簡単に保護されたコンテンツを扱えるようになります。30日限定、3回だけ再生といった、柔軟性のあるライセンス技術をわれわれは持っています」
自分たちだけでできるなんて自惚れは持っていない
Media Center PCがコンシューマー機器としてAV家電に追いついたとは思わない。そう語ったレーメル氏。
しかし将来はどうだろう。MicrosoftはPCベンダーと共に、新しいPCのカテゴリーを構築したいという気持ちを口にしている。となれば“AV機器としての品質”という、エモーショナルな性能を高めていかなければならない。映像/サウンドともに、比較されるのはスペック値ではなく、その結果の品質だ。
「DVDの記録・再生機能を便利かつ即座に使え、なおかつパフォーマンスが高く、柔軟性も拡張性もある便利なAV機器――そういったレベルにまでは、Media Center PCの品質を上げていきたいと考えています。AV家電品質をWindowsマシンに持ち込みたい。しかし、これは単にコンテンツ記録・再生の品質だけを言っているのではありません」
「本体のデザインもそうですし、冷却ファンの有無あるいは数もそうです。動作時の騒音レベルや発熱などの問題も同じことです。これらに対して、長期的に取り組んでいくつもりです。AV家電レベルの品質を実現するため、あらゆることに耳を傾け、そして投資を行います。われわれはハードウェアベンダーではありませんから、今すぐにそれを約束することはできませんが、長いスパンでパートナーと共に改善に取り組みます。自分たちだけで、なんでもできるなんて、自惚れは持っていません」
ということは、やはりPCの家電化を狙っているということなのだろうか?
「いえ、使われ方が異なります。AV家電の方がクオリティが高い部分はある。それは積極的に取り込んでいきたい。しかし、PCならではの良い部分もあります。例えば一般的なDVDプレーヤーは将来、HD規格のコンテンツが登場しても対応できません。しかし、PCならばWindows Media series 9をインストールすることでHD規格の映像も再生できますし、将来的な機能アップ、CODECの品質アップが可能になります。そうした意味でも、AV家電とMedia Center PCを直接比較はできません」
先日、家庭内ネットワークにおけるデジタル機器の相互運用を高めるための業界団体DHWG(Digital Home Working Group)が立ち上がった(関連記事)。Microsoftも、これに積極的に参加し、他社との協力関係を進めていく方針を打ち出しているようだが、DHWGにおいてMicrosoftはどのような役割を担うことになるのか。
「DHWGは私自身が担当しています。PC、家電、通信機器が、きちんとつながり、連携が取れるようになることを目指しています。われわれの部署はDHWGと密接に連携しながら、業界標準のホームネットワーク技術を実装していきます」
「ただ、その成果やグループ内での役割について話すのはまだ早すぎますね。10月、日本において、DHWGの参加ベンダー17社が、はじめて一同に会して話し合いを行います。そこでいくつかの枠組みが決まるでしょう。ただしDHWGは標準化を行う団体ではありません。既存のスタンダードをベースに、相互運用を高めるための取り組みを行う団体です」
相互運用という意味では、ネットワークを通るコンテンツのCODECや著作権管理方式が重要になる。ところが、この分野は各社の利権争いが激しい。たとえばMicrosoftは自社開発のWindows MediaとWindows DRMを推進しているが、他社は必ずしもそれに賛同していない。
「この問題は、Microsoftだけのものではありません。DHWGの中で協力関係を強化しながら、継続的に取り組まなければなりません。解決できるか? 答えは“イエス”。必ず解決できると考えています。解決できないのであれば、こうした業界団体に参加する意味がありません。解決できるからこそ、こうした活動をしているのです。新しい市場を創出するために、その基盤となる要素を協力して作り上げなければ、誰も前に進むことができないからです」
[本田雅一, ITmedia]
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