News 2003年10月16日 05:11 PM 更新

エプソン、次世代液晶パネル「D4」搭載ホームプロジェクター「dreamio」2機種

セイコーエプソンが、は10月16日、ホームシアター向け液晶プロジェクター「dreamio」シリーズの新製品2機種を発表。ミドルレンジ向け「EMP-TW200」とハイエンド向け「EMP-TW500」の両機種ともに、ハイビジョン対応の新開発次世代液晶パネル「D4」を採用している。

 セイコーエプソンは10月16日、ホームシアター向け液晶プロジェクター「dreamio」シリーズの新製品として、ミドルレンジ向け「EMP-TW200」とハイエンド向け「EMP-TW500」を発表した。両機種ともに新開発の次世代液晶パネル「D4」を採用し、ハイビジョン映像に対応する。価格はEMP-TW200が26万8000円(10月24日発売)、EMP-TW500が49万8000円(12月初旬発売)。


ホームシアター向け液晶プロジェクター「dreamio」の新製品(写真はEMP-TW500)

 “ホームシアター専用設計の次世代液晶パネル”を搭載したホームプロジェクターが、ようやく登場した。

 同社は今年3月に、それまで開発名称“Dream 4”と呼ばれていた次世代プロジェクター向け高温ポリシリコンTFT液晶パネル「D4」を発表。従来の液晶パネルよりも小さいサイズで、高い開口率と高解像度を可能にするこの次世代デバイスは、プロジェクター市場でトップシェアを誇る同社の今後の製品展開に欠かせないキーパーツとして注目されていた。


次世代プロジェクター向け高温ポリシリコンTFT液晶パネル「D4」(写真は展示会で参考出展されたもの)

 当初、D4の市場投入時期は夏ごろといわれていたが、今年8月に本格ホームプロジェクター仕様を掲げた新シリーズ「dreamio」第一弾のエントリー向け「EMP-TW10」には、D4ではなく1世代前の液晶パネル「D3」タイプが搭載されていた。

 新製品のEMP-TW200とEMP-TW500に搭載されたD4のスペックは、0.7インチ高温ポリシリコンTFTワイド液晶パネルを3枚用いた3原色合成方式(総画素数約276万画素)。液晶パネルの解像度は720p(1280×720ピクセル)となり、ハイビジョン映像を楽しむことができる。

 ホームシアター専用設計により、高開口率による輝度向上だけでなく動画性能も大幅に向上しており、明るく高精細で色再現性に優れた映像を作り出すという。

 dreamioシリーズ最上位機となるハイエンド向けのEMP-TW500は、D4の高解像度ハイビジョン映像をより高品質な色彩で表現する機能を装備。映像信号の入力と出力を10bitで処理することにより、RGBそれぞれ1024階調・約10億7000万色の色再現性を可能にした。また、マイクロレンズ装着と投写レンズの絞り機能(アイリス)によって、1200対1の高コントラストも実現している。


ハイエンド向け「EMP-TW500」

 一方、ミドルレンジを狙ったEMP-TW200は、「ホームプロジェクターとしては業界最高輝度」(同社)となる1300ルーメンの明るさで、輝度では上位機種のEMP-TW500(1000ルーメン)を上回るスペックを装備。ホームシアター用途はもちろん、明るい部屋でも高画質投写が可能なデータプロジェクター的な使い方もできるマルチパーパス仕様だ。


ミドルレンジ向け「EMP-TW200」

 両機種ともに、再現できる色領域を拡張する同社独自のカラーマネジメント技術「ColorReality2」を搭載し、色温度や肌色調整など映像の微調整をユーザーが設定可能なほか、RGB各色の純度を高めて映像の黒色を引き締めるフィルター「シネマフィルタ」を、8月発表のEMP-TW10と同様に本体に内蔵した。


シネマフィルタを本体内に内蔵

 このシネマフィルタのon/offやランプ出力の調整で、さまざまなな視聴環境に合わせて色調を最適化したプリセットモードを用意。EMP-TW200は5種類のカラーモード(ダイナミック/リビング/ナチュラル/シアター/sRGB)、EMP-TW500は前記の5種類にシアター・ブラックモードを加えた6種類から、投写する環境に合わせて最適な色調と輝度を選択できる。

チューニングした画質調整データをユーザー間で交換し合える「エプソン・シネマカラーエディター」

 ユニークな機能が、PCで画質調整やプロジェクター操作を行えるソフトウエア「エプソン・シネマカラーエディター」だ。映像調整パラメータをPCから調整・保存でき、USBもしくはRS-232C(EMP-TW500はネットワーク経由も可能)ポートを使って設定したデータファイルを本体に読み込むことができる。


PCで画質調整やプロジェクター操作を行えるソフトウエア「エプソン・シネマカラーエディター」を両機種に添付

 「コンテンツに合わせて多岐にわたる設定内容を設定数に制限なく保存することが可能。また、他のユーザーが作ったデータをPC経由でやり取りすることもできるため、例えばスタートレック向けにチューニングした画質調整データをマニア間でネット上で交換するといったことも可能になる」(同社)


インタフェース部(ELP-TW500)。対応ビデオ信号は525i/525p/1125i/750p、コンポーネント、Sビデオ、コンポジット。PC対応信号はVGA/SVGA/XGA(ELP-TW200はSXGAも対応)。USB/RS-232Cのほか、ELP-TW500にはネットワーク端子も装備

 上下方向に最大2.5画面分、左右で最大2画面分の画面移動が行える「レンズシフト」機能を搭載。また、1.5倍の電動ズームフォーカス機構を備えた短焦点レンズを搭載し、100インチの大画面を最短3メートルの距離で投写可能。ズームレンズを併用することで、前後1.5メートルの幅で設置場所を移動できる。


上下左右の画面移動が行える「レンズシフト」機能を備えた短焦点電動ズームレンズを搭載

 主な仕様は以下の通り。

型番ELP-TW200ELP-TW500
液晶パネル0.7型ポリシリコンTFTワイド液晶
画素数(横×縦×枚数)1280×720×3
輝度1300ルーメン1000ルーメン
コントラスト比800対11200対1
色再現性1677万色(8bit)10億7000万色
対応ビデオ信号525i/525p/1125i/750p、コンポーネント、Sビデオ、コンポジット
対応PC信号VGA/SVGA/XGA/SXGAVGA/SVGA/XGA
サイズ440(幅)×320(奥行き)×114(高さ)ミリ450(幅)×345(奥行き)×119(高さ)ミリ
重さ約5.3キロ約6.2キロ
投写レンズ1.5倍電動ズームフォーカスレンズ(21.4-31.7mm、F2.1-2.8)1.5倍電動ズームフォーカスレンズ(21.4-31.7mm、F2.1-4.3)
投影サイズ30〜300インチ
騒音レベル28デシベル(ナチュラル、sRGB、シアターモード時)27デシベル(ナチュラル、sRGB、シアター、シアター・ブラックモード時)
価格26万8000円(実売24万円前後)49万8000円(実売45万円前後)
発売時期10月24日12月初旬

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[西坂真人, ITmedia]

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