スカパー!やWOWOWと、地上波の“組み方”を考える(1/2 ページ)
放送局同士では協力が難しい理由
スカパー!やWOWOWの将来性を考える場合、加入者数の増減ばかりに左右されることのない経営の確立が欠かせない。その戦略として、両社はコンテンツの制作段階から関与し、オールライツを持った上で、マルチユース展開を図ることに力を注ぎつつある。
ただ、両社とも、独自に番組を制作するノウハウを、それほど多く持ち合わせているわけでない。である以上、わが国で最大の制作プロダクション機能を持つ地上波各局との連携が必要になる。
もちろん、地上波局から独立している大手プロダクションもある。だが、そうしたプロダクションと組む上でも、番組制作にはプロデューサーが不可欠。ところが、スカパー!やWOWOWなどは、どのプロデューサーが優秀であるのかといったことについて、地上波局の編成部門ほどの目利きの力があるわけではない。
番組を制作するとなれば、色々なところから企画が上がってくる。その企画の中からヒットするかしないかを判断し、実際にどの番組を制作するのかの選択を行うとなれば、地上波局と連携している方が成功の確度が高くなるわけである。加えて地上波局と意見が一致すれば、資金の調達手段にも事欠くことがなくなる。互いにファンドを設立してもよいし、製作委員会システムで行く方法もある。他からの投資を募ることも可能だ。
ただ、この際に、留意しておかなければならないのは、スカパー!があくまでもプラットフォームである(6月3日のコラム参照)のに対し、WOWOWは放送局である、という点である。
つまり、WOWOWが地上波局と組む場合、放送局同士の話になるため、結果として、フリーテレビである地上波局には何も残らなくなってしまう可能性があるのだ。地上波局側からすれば、どうせなら、自らのところに権利が残るような発注をした方がいいに違いない。
その点、スカパー!と地上波局の場合であれば、50対50の権利のシェアが可能になる。WOWOWと地上波局も50対50でシェアすればいいようにも思えるが、両者の場合、放送局同士になるため、基本的にはメリットをシェアすることが難しくなってしまうのだ。
というのも、WOWOWはペイテレビであり、地上波局はフリーテレビであるからだ。そうなると、ウインドウ展開の常として、ペイテレビであるWOWOWがファーストラン(最初の放送権)をとることになる。その逆の順番は考えにくい。
この枠組みで50対50でコスト負担をしたのでは、地上波局の方の採算を確保することが難しくなってしまう、これが放送局同士の提携の難しいところである。もちろん、スカパー!側にもペイ・パー・ビューがあるから、同じ理屈になってしまう可能性はある。
映画制作に対する投資の意義
コンテンツ制作に投資すると言っても、放送局同士の提携が難しいとすれば、映画の制作に投資していくという方法が考えられる。映画の場合には、最初に劇場における興行が行われる。興行での収入についてならば、出資金額の割合に応じたシェアが容易になる。
興行が一巡したところで、DVD化することになる。レンタル市場があって、セルビデオの市場がある。さらに、マーチャンダイズがあって、音楽出版の収入を見込むことも出来る。テレビ放送による放映権は付随的なものであると考えれば良いことになる。
ペイテレビで先に流すことになっても、既に多様なルートで、その作品の制作コストが回収されていれば、地上波局としても何の問題もなく、容認するはずである。それを最初からテレビ番組として制作してしまうと、そもそもの制作コストの回収ルートが限られてくるので、放送局同士の提携を難しくしてしまうのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
4
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
5
auメールで朝から障害 全国で利用しづらい状況に
-
6
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
7
So-net、会員情報約259万件が漏えい 一部メールサービスではパスワードも流出
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
IPO目論見書に「AIは人類の存亡リスク」「コードの9割はClaude製」 Anthropicが示した規格外の見立て
-
10
Apple、M6搭載の14インチ「MacBook Pro」発表 AI性能向上、33万9800円から
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR