A&Vフェスタ 2004
マグネシウムってどんな音?
パシフィコ横浜で開催中の「A&Vフェスタ 2004」で、ある金属製のスピーカーが注目を集めている。金属が使われているのはエンクロージャーではない。振動板そのものが、マグネシウム合金で出来ているのだ。
この「マグネシウム合金スピーカー振動板」を開発したのは、ステンレス鋼メーカーとして知られる日本金属。同社によると、マグネシウムは実用金属の中で最も比重が軽く、また比剛性(伝搬速度)や内部損失に関しても優れた特性を持つという。振動板に応用すると、「音の分解能にすぐれ、高音域まで透明感のある音を再生できる。紙コーンと比べても、紙特有の擦れる音がなく、情報量も豊富」(同社)。
販売代理店を務めるエスメタルの樋口秀二部長によると、日本金属は自社の持つ材料技術や加工技術、表面処理技術などを生かせる新規ビジネスとして、スピーカーの振動板に着目したという。「きっかけは、マグネシウム合金の軽さを生かせる用途を探していたこと。素材の研究には約3年かかったが、もともと加工技術を持っていたため、振動板そのものは10カ月程度で開発できた」としている。
使われた素材は、ノートPCやMP3プレーヤーなどの外装にも採用されている「AZ31」と呼ばれる一般的なマグネシウム合金だ。ただし、「音質を向上させる、あるいは塗装を行うための表面処理技術が重要だった」(同氏)。とくに着色に関してはオーディオメーカーからの要望が多く、このため「陽極酸化処理を行った上に、顔料を混ぜた樹脂でコーティングするマルチコーティング技術を開発した」という。
展示ブースには、陽極酸化処理だけを施したシルバーの振動板にくわえ、カラフルに着色された“マルチコーティング”の振動板が並んでいる。また、表面処理の“厚さ”によっても音に大きな変化が出るため、それぞれ100μ、130μと異なる厚さのサンプルを用意。スピーカーに組み込んだ状態で試聴することが可能になっている。実際に音を聞いてみると、確かに高い音域に特徴があった。100μの陽極酸化処理では中高音が目立ち、表面処理が厚く、あるいは複雑になるほどマイルドになる印象だ。
気になるのは製品化の時期だが、まずは2005年に登場する製品のツイーターに採用される見込みだ。一方、フルレンジタイプもチューニングを進め、各オーディオメーカーの2006年モデルに合わせる形で訴求していくという。
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