普段、小画面。時々、プロジェクター(2/2 ページ)
小画面液晶テレビと大画面スクリーンの組み合わせは、最近一緒に仕事をしている某AV誌編集長も同じことを考えて記事にしたことがあるそうだ。従って、考え方として新しいというわけではない。が、周りを見回しても、そんなことをしている人はどこにも見かけない。
36インチから23インチへとインチダウンし、120インチスクリーンも利用可能になったとき、ユーザーの視聴スタイルには変化が起きるのか?ということを考えながら、サンプル数はいささか少ないながら、家族の意見を聞いてみた。
すると意外にも「バラエティやワイドショウって、単に見えればいいって感じだから、小さくても全然気にならない。それどころか、サイズが小さくなって消費電力も少ないなら、その方がいいに決まっている。ドラマも人物のアップが多くて、小さめ画面の方が見やすい」と、想定通りの模範的な回答。改めて自分でテレビを見ていても、大画面で見たいコンテンツは本当に少ない。
個人的にも、さすがに最初の数日は小ささに違和感を感じたものの、そのうち全く気にならなくなってきた。独身時代からずっと、大画面テレビをリビングルームのシンボルのように捉えてきた価値観も変わってきた。それと共に変化してきたのが、リビングルームで楽しむコンテンツの傾向である。
フロントプロジェクターは万能ではない。しかし……
僕自身はここ数年で早々に映像コンテンツの楽しみ方が変化してきていた。地上波テレビで無限連鎖的に流し込まれるコンテンツを確たる意志もなく受け入れるのではなく、映画やドキュメンタリーのような撮影・制作する側の意志に共感し、自らコンテンツを選んで視聴するスタイルへの変化だ(だからこそ、普段は小画面でいいと思ったわけだが)。
従って、“普段、小画面。時々、プロジェクタ”化を行った後も、僕自身の視聴スタイルは変化していない。しかし、自らの家庭で実践してみると、家族もそれに巻き込まれ、視聴するコンテンツを選び、比較的作品性の高い映像を見る機会が多くなったようだ。DVDやBSデジタルのドキュメンタリー、映画、コンサートなどの放送は見るが、地上波は“余った時間”を過ごす1手段にしか過ぎなくなってきている。
そもそも、ゲームやインターネットなど、家庭における余暇の過ごし方は以前よりもずっと多様化している。そろそろ箱モノの“テレビ”という概念を捨てて、新しいエンターテイメントのためのディスプレイについて考え直す時期にさしかかっているのではないだろうか?
もちろん、フロントプロジェクターの導入が、すべての人に適した“解”だとは思わない。明るい場所では見にくく、3000時間前後で切れるUHPランプの費用も馬鹿にならない。普段使いのディスプレイではなく、必要な時だけ使うディスプレイである。フロントプロジェクターは万能ではない。そもそも、常設設置となると、レイアウトの面で受け入れがたい読者も多いだろう。
“普段、小画面。時々、プロジェクター”コンセプトは、あくまでもわが家における投資効率を考えた場合の最適解である。来年はまた違った最適解が存在するかもしれない。家族構成や自宅の事情が異なれば、また違う結論を出すことだろう。
だがひとつだけ言えるのは、テレビというディスプレイは、コンテンツを映し出す鏡にしか過ぎないということだ。自らが楽しむコンテンツの状況を見直せば、単なる流行ではない自分にとって最適なディスプレイを選択できることだろう。
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