2005 International CES
HD DVDの先制パンチ~各映画スタジオの発売予定タイトルを公開(3/3 ページ)
HD DVDプレーヤーを年内に発売するのが難しいとする理由は複数ある。
まず、青紫レーザーを安価かつ大量に入手するのが難しいという理由がある。現在、記録型光ディスクに利用可能な高出力タイプの単価は100ドル以上という。今秋には日亜化学がプレーヤー向けに低出力タイプを製品化する見込みだが、それでも当初は60ドル程度。ちなみに記録型DVDのドライブ単価は40ドルぐらいで、半導体レーザー1個の値段として60ドルという数字がいかに高価かわかるだろう。
この点について東芝の主席技監・山田尚志氏は、HD DVDプロモーショングループの発表会の後、「東芝は日亜化学から特許ライセンスを受けて、独自のプロセスで青紫レーザーを開発している。HD DVDプレーヤーで使う低出力のものなら、歩留まりの問題も全くない」と話した。「特許ライセンスを考慮しても、自社製なら安価に調達可能だ。他社への供給は難しいが、自社で使う分であれば問題はない」。
もう一つ、HD DVDのビデオフォーマットは、昨年中に正式決定できなかった。SMPTEにおけるVC-1の規格確定が遅れたことも理由だろう。DVDフォーラムの幹事会は2月に予定されており、最も早いタイミングでも、そのときにしか最終仕様が確定しない。少しの遅れも許されない。こうした状況は、実はBD側も同じ。BDを支持する家電ベンダーが、BD-ROMのビデオ再生をサポートしたBDレコーダーを発売できるのは、HD DVDプレーヤーが発売可能な時期とさほど変わらないと思われる。
言い換えれば、BD陣営も年内にビデオ規格の再生をサポートすることの難しさをよく知っており、それ故にHD DVD陣営のスケジュールに関して現時点では懐疑的なのだろう。
このあたりを含め、HD DVD関連のさまざまな疑問に関しては、別途、東芝・山田氏へのインタビューとしてレポートする予定だ。
過去ライブラリの枯渇が生む映画スタジオ側の本気
HD DVDプロモーショングループの発表をどのように読むかは、それに賛同した映画スタジオの意図をどう読むかによって異なる。穿った見方をすれば、いくらでもできるが、やはり純粋に戦略的なものと考えるならば、ワーナー、ユニバーサル、パラマウントは本気でHD DVDに取り組むのかもしれない。
映画スタジオの収入はDVDに大きく依存しているが、その収入は新作映画だけで得ているわけではない。膨大な量の過去ライブラリが収入を下支えしている。しかし、最大手のワーナーでさえ、過去ライブラリの枯渇が叫ばれており、DVDの売り上げに対してプラスαを積み上げなければ、右肩上がりに業界が成長するシナリオが描けない。
眼前の資産枯渇に対して売り上げを積み上げるため、もっとも手っ取り早いのはHD DVDで過去の映画を再発売することだろう。HD DVDなら、現時点でも複製コストを低く抑えることができ、場合によってはDVDとHD DVDのレイヤーを1層づつ持つハイブリッド型も利用できる。新しいメディアとは言っても、それによって新しいプラスαを期待できてもマイナス要因は少ない。
ワーナーをはじめとする各社が、HD DVD市場拡大に自ら本腰を入れて取り組むのであれば、BD対HD DVDの構図においてHD DVDがかなり優勢に立ったといえるのかもしれない。しかし、これが単に勢力争いを優位に進めるための戦略的なものならば、まだまだどう転ぶのかわからない。
来週、HD DVDタイトルを発表したワーナー、ユニバーサルを含む映画スタジオを取材して回るつもりだ。そのとき、あるいは彼らの本音が見えてくるかもしれない。
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