富士通、2010年度末に地球シミュレータの75倍の性能を持つスパコン目指す
富士通は6月22日、2010年度末にPFLOPS(ペタフロップス)級の演算性能を持った次世代スーパーコンピュータを稼働させることを目標に、要素技術の研究開発を進めていくと発表した。2004年10月に富士通研究所に設置した「ペタスケールコンピューティング推進室」が研究開発の中心となる。
同社は1976年に日本初のベクター型スパコンを発表、1993年には処理性能で世界1位も達成した、スパコンのリーディングベンダー。2002年にはスカラー型スパコンへ方針変更し、現在は大規模共有メモリ型並列スカラー方式アーキテクチャの「PRIMEPOWER HPC2500」とItanium搭載サーバ「PRIMERGY」を複数台接続して並列処理を行うIAクラスタシステムの2種類を提供している。国内の300サイトで1000システムが稼働中という。
今年後半には最新Itanium 2を搭載した基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」をベースとしたLinuxスパコンの提供も開始する予定だ。このPRIMEQUESTベースの大規模共有メモリ型並列スカラー方式スパコンの開発を進めていくことで、数百TFLOPSの性能は得られるが、こうした現在の技術トレンドの延長では、PFLOPS級スパコンという目標達成には遠く及ばないという。
ペタスケールコンピューティング推進室長の木村康則氏が掲げる目標は、2010年度末にピーク性能で3PFLOPS、実効性能で1PFLOPS超だ。この性能は2004年まで2年間世界最速の座にあったNECの「地球シミュレータ」の約75倍にあたる。この次世代スパコンを実現するためには、各計算ノードを繋ぐインターコネクト、ハードウェアの実装、システムの低消費電力化などの各要素技術で技術的ブレークスルーが必要だという。
これら要素技術のうちインターコネクトについて、富士通は九州大学、福岡県産業・科学技術振興財団、九州システム情報技術研究所との産学官連携によって、今後3年間で高性能かつ高機能なインターコネクト技術を研究開発する。現在のインターコネクト技術は、1000ノード程度を単に繋いでいるだけで、各計算ノードで得られた結果の総和計算などは計算ノードで行われているが、これには多くの時間がかかっている。この研究では演算機能を持たせたスイッチを開発して、10000ノード程度の接続を可能にしつつ総和計算の高速化と計算ノードの負荷低減を狙う。また接続に使う光ファイバーを波長多重技術によって広帯域化してケーブル数を減らすとともに、光パケット信号を電気信号に変換することなくそのままスイッチングする「光パケット技術」や、インターコネクトの性能を評価する技術も開発する。
富士通がインターコネクトに注目するのは、CPUの性能向上は頭打ちになりつつあり、2010年時点での周波数は現在の2~3倍にとどまると予想しており、それを使って3PFLOPSを達成するには、高性能・高機能インターコネクトが不可欠と判断しているからだ。今後のおおまかな開発スケジュールとしては、共同開発を続けつつ2006年から設計段階に入り、2007年に開発、2009年に改良、2010年に製造する予定。
説明会では記者から、「米IBMのBlueGene/Lが世界最高の処理性能と言っているが、BlueGeneはそれぞれの設置サイト向け専用システム。地球シミュレータは“汎用”スパコンとして高い評価を得ているが、富士通はどう考えるか」との質問が飛んだ。これに対しては、「シングルアプリケーション向けで性能が1位になっても意味はない」(伊東専務)として、性能だけを追求するのではないとの姿勢だ。
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