インタビュー
「iTMS-Jへの楽曲提供は検討している」――SME、音楽流通への考え(1/2 ページ)
日本でiTunes Music Storeが開始されて約1カ月。「着うたフル」など携帯電話向けサービスも拡大の一途をたどっており、音楽流通の手段はこれまでのCDパッケージオンリーの時代から大きな変革の時を迎えている。
そんな多様化の時代に、“レコード会社”はどのような考えを持ち、どのようなスタンスで挑もうとしているのか。ORANGE RANGEやASIAN KUNG-FU GENERATION、OASIS、AEROSMITHなど人気アーティストを擁するソニー・ミュージックエンタテインメントの井出靖氏(コーポレート・スタッフグループ 広報チーム シニアマネージャー)に尋ねた。
健全な音楽流通のため、ある程度のコントロールは必要だ
――CDの販売を始め、レンタルや携帯電話向けサービス、音楽配信など、音楽流通の手段が多様化しています。この状況をどのように受け止めてらっしゃいますか?
井出氏: リスナーの手元へ音楽を届ける手段が多様化していることについては歓迎しています。ただし、その手段によって具体的な方法が異なることに注意しなくてはならないとも思っています。
言い古された表現かもしれませんが、“音楽の再生産”というサイクルを確保できる方法にならないといけません。アーティストへの還元を考えると、野放図に音楽がコピーされてしまうのは避けなければなりません。ある程度のコントロールが必要になるでしょう。
――「ある程度」とは?
井出氏: 非常に難しい問題ですね。販売(流通)チャンネルにあわせて考えていくしかないでしょう。コントロールする方法については、技術的な手段を用いることもありますし、啓蒙活動による訴えかけもあります。違法コピーをしている人に対しての法的措置も、抑止力としては必要だと考えています。(関連記事:レコ協加盟7社、ISP8社へ不正アップロードユーザーの情報開示を請求)
CDに限れば、すべてをSACDやDVD-Audioに切り替えればよりコピーを防ぐことができますし、実際に切り替えることも不可能ではありません。ですが、それがリスナーやアーティストにとって良いことは思えないのです。
――2004年9月にレーベルゲートCD(レーベルゲートCD2を含む)の終了を発表し、今年7月末からはレーベルゲートCDでプレスされ続けていたタイトルについてもCD-DAでの再出荷を開始しています。それも“ある程度”のバランスを考慮した結果なのですか?
井出氏: 日本市場にはCDレンタルという手段もありますが、当社としては購入することでCDを入手してくれたユーザーが、そのCDで幅広く楽しんでくれればいいと考えています。当時の情勢を考えれば、レーベルゲートCDの出荷が違法コピーへの抑止力にはなったと思っています。(レーベルゲートCDの)終了を決定したのは、レーベルゲートCDのシステム利用者があまり多くなかったという理由もあります。
(編集部注:レーベルゲートCDはPCで再生する際に専用ソフトを起動し、インターネットを利用した認証を得る必要があったほか、OpenMG対応機器にコピーする際には2回目以降、別途料金が発生した)
――流通手段の多様化についてですが、現在、レコード会社として「流通手段がCDだけではない」という感触はあるのでしょうか?
井出氏: その感触はあります。ただし、それは音楽に触れる機会がCDだけではなく、機会そのものが多様化しているのだと理解しています。リスナーがCDを購入する際のフローも、これまではテレビ/ラジオ→CDであったところが、携帯/ネット→CDへと変化していると感じます。
“自分は音楽ファンだからCDを購入する”そういう人はたくさんいます。しかし、音楽に触れる機会が多様化することによって、これまで“音楽は聴くけどCDを買うほどではなかった”という人へ門戸を広げることができればいいですね。
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