小寺信良
見えてきた次世代DVDの正体(3/3 ページ)
後出しジャンケン的「あいこ」
HD DVDはROM、Blu-rayはRE。立ち上げ当初はこのように棲み分けると言われていた時期もあったわけだが、昨年末から今年初めにかけて、ハリウッドを巻き込んでのROM合戦になったため、どちらがどちらという部分が非常に曖昧になってしまった。
だが今回の両陣営の発表を見ていると、やっぱり当初から変わらずHD DVDはROMが先行し、Blu-rayは書き換え型が先行しているという事情には変化がないように見える。そういう凹凸があるからこそ、統一してうまく組み合わせれば利害が一致するように思うのだが、なかなかそうもいかないようだ。
HD DVDに関しては、すでにコンテンツ保護に関してコンテンツホルダーとの具体的な条件を詰めている部分は大きなアドバンテージだ。だがBlu-rayも基本的には同じコンテンツ保護技術である「AACS」(Advanced Access Control System)を採用するわけだし、HD DVD並みの譲歩をコンテンツホルダーから引き出すのも、そう難しくはないだろう。そういう意味では、後出しジャンケン的に「あいこ」になる可能性は高い。
また記録型に関しては、今度はBlu-rayが先行していろいろなアイデアを出してくるだろう。それもまた今度はHD DVDが追いかけることで、やっぱり「あいこ」になる可能性が高い。差があるのは容量だが、HD DVDは三層メディアの可能性まで示唆しており、それもまた「あいこ」だ。
結局のところ、DVDのときもそうだったが、二者が真っ正面から競争しているうちは、決定的な差など生まれないのである。このままでは結局のところ、両者のROMメディアはDVD AudioとSACDのようなことになるだろう。
最後に1つだけ、両陣営に意地悪な質問を投げておこう。映画というコンテンツを記録する場合、素材がフィルムなだけに、プログレッシブスキャンのほうが作成の手間も画質も、圧倒的に有利だ。単純に平面方向のピクセル数だけでは、画質の優劣は決まらないのである。そうなると720Pが有力となるわけだが、今世界中のテレビ方式は、1080iと720Pに二分されている。
日本ではいわゆるD4、720P対応のテレビも増えているが、つい2年ぐらい前まではD3、すなわち1080iまでしか対応していないハイビジョンテレビも相当数売ったはずだ。日本では放送が1080iであるため、それでも困らないという現状がある。
両者とも映画の記録フォーマットは、どちらで行くつもりだろうか。地域別に720Pと1080iを発売するのか、それとも両方収録するのか。あるいは両方のバージョンを同一地域で販売するのか。
この勝負、「テレビは買い直してください」と言った方の負け、ということでどうだろうか。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。
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