小寺信良
悩みは尽きぬバーチャルサラウンドの世界(1/3 ページ)
バーチャルな世界も、いろいろと幅が広い。音声、映像だけでなく、最近は触覚などもだんだんモノになりつつあるようだ。ただ、何をもってバーチャルというかは、いろいろ定義があるだろう。
例えば単に映画作品も、フィクションであるがゆえに仮想現実、すなわちバーチャルリアリティだという解釈もできる。あるいは2chステレオであっても、スピーカーが左右にしかないのに音が真ん中に定位することすらも、バーチャルと言って言えないこともない。
だが最近のバーチャルリアリティはもう一歩深まって、そこにないのにあたかも存在するような段階にまで進みつつある。映像にしても音場にしても、脳を騙して立体として認知させる技術、筆者はそういうものが大好きなのだ。もしバーチャルリアリティ抱き枕があったら、毎晩「バーチャルたんハァハァ……」と抱いて寝たいぐらいである。ああそうか、キャラの抱き枕とは、そう機能するのか。
サラウンドが今のように当たり前になる以前に、仮想音場というものを強烈に意識させてくれた製品があった。ソニー“バーチャルホン”「VIP-1000」というヘッドフォンである。年数ははっきり記憶していないが、おそらく10年ほど前だったろう。
これはどういう製品だったかというと、ヘッドフォン内部にジャイロセンサーが備わっており、頭を左右に振ると、それに合わせて音場を制御するというものだ。
んーわかりにくいか。もう少し説明すると、例えばテレビの音を、テレビのスピーカーで聴いているとする。そのまま首を左に振れば、画面ともども音源は頭の正面に対して右に位置を変える。この効果を、ヘッドフォンでやってしまうのである。
普通音楽を聴く場合は、頭がどの位置でも音像はセンターにあるべきであろうから、この製品はオーディオ用というよりも、AV向きだったのだろう。もちろん量が出るようなものではなかったから、ものすごく高かった。おそらく10万円以上しただろう。ある意味この製品が、筆者のバーチャル魂に火を付けたと言ってもいい。
そしてこのヘッドフォンの成果は5.1ch世代に引き継がれ、1998年に「MDR-DS5000」というサラウンドのヘッドフォンに至る。以降MDR-DSシリーズは今日に至るまで、マイナーチェンジしながら販売され続けている。
独自技術、「S-Force」の系譜
DVDビデオの登場以来、サラウンドという言葉は飛躍的に認知度が高まった。だがそもそもスピーカーを自分の回りにいっぱい置くんだったら、脳を騙すというよりホントにそっちから音を出すだけであり、それってバーチャルって言わなくね? と思ってしまう。やはり2つ3つ程度のスピーカーで立体音場を形成することこそ、バーチャルリアリティの神髄ではなかろうかという気がする。
筆者は過去バーチャルサラウンド製品が出るたびに試してはいるのだが、悲しいことに筆者には、今ひとつサラウンドに聞こえない。いや、騙されまいと抵抗しているわけではなく、筆者としてはむしろ騙されたいのである。そう思って一生懸命サラウンドをイメージするのだが、どうしても「これ逆相なだけじゃん」で終わってしまってしまう。
だがここ2年ぐらいの間で、バーチャルサラウンド製品は、飛躍的に良くなってきていると感じている。「バーチャル音痴」の筆者でさえも、徐々に立体に聞こえるものが出てきている。
今年10月、ソニーからヘッドフォンではなくスピーカーを使ったバーチャルサラウンド製品、「DAV-X1」がリリースされた。この製品に搭載されている「S-Force PRO フロントサラウンド」は、ソニー独自のバーチャルサラウンド技術であるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
3
auメールで朝から障害 全国で利用しづらい状況に
-
4
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
5
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
6
Anthropic、独自の“創薬活動”に着手 社員1人のバイオ企業を買収、小児難病の治療薬研究を進める
-
7
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
10
「対策を後回しにしたサーバが軒並み狙われている」 相次ぐ不正アクセスにラックCTOが警鐘
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR