第2回
機能のみならず音響にこそ大きな進化――音楽ホームシアター BOSE「3・2・1GSX」
BOSEのホームシアターシステム「3・2・1」シリーズに、最高峰モデル「3・2・1GSX」が登場。シンプルな構成で本格的なサラウンド環境を実現する3・2・1は、シリーズを通じて着実に改良を重ねてきた。その“進化”を「3・2・1GSX」のレビューで確認してみたい。
BOSE「3・2・1」シリーズに、最高峰モデルとして「3・2・1GSX」が追加された。HDDに音楽を取り込めるuMusic機能を新たに搭載した点が最大の特徴となるが、基本的な部分は、すでに機能面・音質面で熟成を見せていた「Series II」をそのまま継承している。つまり「3・2・1GSX」には「Series II」の名称こそついてないが、「3・2・1GS Series II」にuMusicを装備した、より音楽再生に重点をおいたモデルと捉えればいい。
ただ、“そのまま継承”とはいっても、決して内容が古いわけではない。「Series II」は2005年4月に発売されたばかりの製品であり、しかも、初代「3・2・1」および「3・2・1GS」から、「3・2・1 Series II」「3・2・1GS Series II」へのモデルチェンジでは、大幅な性能向上・機能改良が図られた。
ここでは4月15日発売予定の「3・2・1GSX」を一足先にレビューしつつ、「3・2・1 Series II」「3・2・1GS Series II」を含む、「3・2・1」の現行ラインアップの実力を確認していく。uMusic機能の詳細は別記事にまとめたので、そちらを参照していただきたい。
すべてのパワーアンプがベースモジュールへと移り、より最適化された機器構成
見た目は初代から変化がないように思える「3・2・1GSX」の構成だが、実は「3・2・1」および「3・2・1GS」と、「Series II」以降の現行機種とでは大きな違いがある。それは4ch分のパワーアンプの位置だ。初代「3・2・1」ではメディアセンター側に内蔵されていたのだが、現行「3・2・1」ではすべてベースモジュールへと移動している。
つまり、メディアセンターはプリアンプとプレーヤーのみの役割を果たすようになり、パワーアンプという制約から解き放たれたことで、静音化と低発熱化を実現。さらに、幅349×高さ83×奥行き254ミリ/質量3.2キロと、初代のメディアセンターと比べて、約2センチ薄く、800グラム軽く仕上がっている。では、4chパワーアンプを追加されたベースモジュール側が大型化したのかというと、それはなく、重さこそ900グラム増しているものの、サイズは以前と変わらない。
構成が違えば、当然ながら、配線も異なる。初代ではサテライトスピーカーへ接続するケーブルはメディアセンター側に装備されており、各機器の配置によっては(メディアセンターをリスニングポイントの近くに設置したい場合など)配線が若干じゃまになってしまう可能性があった。しかし、「3・2・1GSX」を含む現行機種では、すべてのケーブルがベースモジュールから延びているため、配線はよりシンプルとなる。さらに、メディアセンターとベースモジュールを結ぶケーブルは以前よりもかなり細いタイプで、また、コネクタも接続しやすい形状に変更された(メディアセンター~ベースモジュール間の信号は全てデジタル伝送されている)。
メディアセンター背面の接続端子では、スピーカー端子がなくなった以外に、コンポーネント映像出力端子の装備が目をひく。以前はコンポジット/S映像出力しかなかったため、プログレッシブ再生には非対応だったが、現在は内蔵DVDプレーヤーで映画を観賞する際には、より高画質で楽しめる。
テレビへの映像出力は、DVD再生だけではなく、操作用インタフェースにも利用されているのは初代同様だが、内容が大幅に強化された。「LifeStyle 48」などと同じスタイルのGUIを搭載し、System設定画面を表示させてメディアセンターの初期設定を行ったり、Settingメニューを呼び出して各機能へアクセス可能だ。特にuMusic機能を搭載した「3・2・1GSX」では、アルバム情報の表示や、楽曲の検索など、このGUIの果たす役割が大きくなっている。
バランスのよさを感じる音楽再生と、臨場感の増した映画音響
ほかにも、地上/衛星デジタル放送のサラウンド音声(MPEG-2 AAC)のデコードに対応していたり、記録型DVD(DVD±R、DVD±RW)が再生可能など、表面的に見ただけでも確かな機能向上を感じられる。しかし、いざ実際に利用してみると、目に見えない部分にこそ、最も大きな違いがあることに気づく。それは音響性能だ。
以前の「3・2・1」では音圧を体感できるほど豊かな低音が印象的だったが、新製品ではそれが高音との歩み寄りを見せて“バランスの良さ”が光るようになった。音楽再生においても明らかに音のトータルバランスは向上しているのだが、特に映画の音響では唸ってしまうほどの差を感じる。ドルビーデジタルやDTSなどの5.1chデジタルサラウンド音声を再生する際、「Series II」以前と以降で何が違うかというと、それは音の存在感だ。音の広がりがより増したことに加え、方向感も明確になっている。
また、ほかの多くのフロントサラウンド製品では、バーチャルで後方の音声を再現するとはいっても、よくても真横あたりに定位する場合がほとんどだが、「3・2・1GSX」ではそれよりも一歩踏み込んでくる。たとえば、リアル5.1ch環境でサラウンドスピーカーの右から左へと音が抜けていくようなサウンドであれば、自分の左右の耳のすぐ後ろあたりを移動する音の存在が確実に伝わるのだ。
この違いはデジタルサラウンドプロセッサー「TrueSpace」の搭載によるものと思われるが、「3・2・1」のみならず「3・2・1GS」と比較しても明確な差が感じられる。ということは、同じTrueSpaceといっても、「3・2・1GS」で搭載していたものと、「Series II」以降のものとでは性能が大きく違うのだろう。どうやら、細かな改良レベルではなく、サラウンドアルゴリズム自体の見直しが施されたようだ。
さらに、それ以外の部分にもBOSEの多彩なテクノロジーが盛り込まれている。すべての音声を5.1chデジタル化してTrueSpaceへと渡す「BoseDigital」デコーダー、低音量でもバランスのとれた音質を提供できるよう音響バランスを自動補正する「P.A.P.」回路、低音どうしの干渉を防ぐために、デジタル処理で位相を整合したうえで全チャンネルの低域信号を合成し、ベースモジュールから出力する「ベースパワーサミング」など、さまざまな技術により、フルデジタルでの音質最適化処理が施されているのだ。
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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日