DVDレビュー
れこめんどDVD「惑星大怪獣ネガドン」(2/2 ページ)
「昭和81年」に考える「昭和100年」の意味
昭和100年。何か思想的にあっち寄りとかそういうことでしょうか。まだ戦後は終わってない、みたいな。というよりは昭和の匂いがたまらなく好きなんですね。クレイジーケンバンドのバイオグラフィーに、昭和74年発表「PUNCH! PUNCH! PUNCH!」でデビュー、なんて活字が躍るのとノリは共通していると思います。
昭和100年における日本の軍事力の描写、というか時空のねじれた感じも最高です。西東京地方に落下し、都心へと移動を続けるネガドンを迎え撃つのは「F-104J栄光」という実在した昭和なフォルムの戦闘機。参考資料は「大巨獣ガッパ」(昭和42年製作・日活)と「宇宙大怪獣ギララ」(昭和42年・松竹)という、それでいいのかというザックリさとマニアックさを惜しげもなく披露。カメラに向かって助走してきて目の前で離陸して雨粒がレンズにかかる、なんて心憎い画づくりもありますよ。
地上から立ち向かうのは三菱重工社製74式戦車。都会のビル群の中、向こうからやってくるシルエットが美しいです。戦車ですけどね。グッドデザイン賞を受賞した(ウソです)、戦車ですけど時代先取りの流線形フォルムを懐かしみながらお楽しみください。ちなみに現在、自衛隊が配備している最新型は90式戦車です。
で、ネガドンと一戦交えるのは、人間型汎用歩行重機「MI-6(ミロク)二号機」。アムロよろしく乗り込むは、50歳オーバーと思われるちょっとワケありな楢崎博士です。昭和100年には、粟津監督も30代の観客も同じ年齢になっているという仕掛け。ガンダム世代は20年後、ロボットに乗って戦地に立っている、のでしょうか。
あと、弥勒(みろく)というネーミングと、片腕がドリルだったりするので、石川賢先生の「真・ゲッターロボ」「虚無戦記」を連想してしまいました。つまり本編は25分と短くても、観客が妄想を膨らませれば脳内「ネガドン」は約90分の長編になってしまうのです。それくらい本作は濃密だし、楽しめるディティールが満載だと思います。
各界から独特な賛辞の嵐
昭和80年、東京国際ファンタスティック映画祭で初披露となった「ネガドン」。新宿ミラノ座の大スクリーン(幅約20メートル)にてシネマスコープで上映されました。現場にいた粟津監督いわく「(モニターで見るのとは)奥行き感というか立体感がまず全然違います」。ホームシアターでもぜひお試しあれといった感じでしょうか。
そうはいってもフツーの娯楽映画ではありませんから、商品としても作品としても独特な立ち位置にある本作。各界から寄せられたコメントも独特です。
クリエーターで東京ファンタのプロデューサーも務めるいとうせいこう氏が「“昭和100年”という時空間が存在不可能であることは、怪獣それ自体の存在不可能性とつながっているのだ」と小難しく盛り上がれば、編集ライターの竹熊健太郎氏はブログ(たけくまメモ)で「ハイパー・アマチュアの時代」と絶賛し、樋口真嗣・特技監督は「彼の人生を狂わせたのは一翼は俺が担っているのかも、いや、そうに違いない!」とフォロワー登場に大感激といった調子。実際、粟津監督は「ガメラ3」を見て刺激を受け、自分の作品を作ろうと決意したそうです。
一方、微妙なコメントもありまして、制作会社に所属中は平成ゴジラのCGを担当していた粟津監督、いわば古巣ともいえる平成ゴジラの特技監督・川北紘一氏は「(次回作は)クレイアニメと一緒にやると両極端で面白いかもな!」とのこと。この人についていかなくてよかったですね。
参考文献:自主制作CG映画「惑星大怪獣ネガドン」制作日誌
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