「ネットで対面より濃いコミュニケーションを」 吉村作治サイバー大学長
ソフトバンクグループの日本サイバー研究所は、日本初のネット専門大学となる株式会社立大学「サイバー大学」を来春開校する。教育の質を確保できるかなど多くの課題が指摘されているが、学長の吉村作治氏は「教員や教材を厳しく評価する。ネットなら時間や場所を気にせずコミュニケーションできる」などと語り、いつでもどこでも受講できるメリットをPRする。
サイバー大は「IT総合学部」と「世界遺産学部」(20人の専任教員)の2学部制。定員は各学部600人の計1200人。新学部も順次設置し、総合大学を目指すとしている。
住んでいる地域や年齢などに関わらず、誰でも好きな時間に受講できることがメリット、と吉村氏は強調する。「ひきこもりなどで地域の高校に通えず、ネット高校を卒業した人がいるが、彼らを受け入れるネット大学がない。サイバー大学が受け入れ先になりたい」
入学検定料は1万円で、入試は書類選考のみ。入学金は10万円、授業料は1単位あたり2万1000円。卒業までに124単位(計260万4000円)必要で、全単位を取得しても「平均的な私立大学よりは2~3割安い」としている。授業料はカルチャースクールよりも少し安いという基準で設定したが、利益が上がれば値下げするという。学士の学位取得には、原則4年以上の在学が必要。
対面教育がないため、教員と学生のコミュニケーションが取りづらいのではという指摘に対しては、吉村氏は早稲田大学での授業の経験からこう反論する。
「私も30年近く早稲田で教えてきたが、対面授業だと質問がほとんどない。しかしネット教育の『早稲田eスクール』では生徒の3分の1が質問する。面と向かって質問するよりネットの方が質問しやすい部分もあるだろう」
授業は、あらかじめ録画しておいた動画や資料を、学生がそれぞれ好きな時間に再生して学習するというスタイル。同じ授業は何度でも繰り返し再生できる。試験もネット上で行う。
掲示板やメールを通じてディスカッションしたり教授に質問したりできる。質問には48時間以内に回答するという。専門家や第三者などによる評価機関を設置し、授業の質も保っていくという。携帯電話を使った授業も検討している。
授業はネットのみだが、インターンシップや留学、ボランティアプログラムなどもサポート。近所に住む学生同士のサークル活動も奨励するなど、ネットの外の活動にも取り組む。学習や就職をサポートするサポートセンターも開設する。「人格育成にも取り組む。人と人との関わり合いがない訳ではない」
まずは2学部で始めるが、2~3年に1学部ずつ増やして総合大学を目指す。ただ「既存の大学にあるような学部を作るつもりはない」とし、例えば、日本について体系的に学べる「日本学部」の設置などを構想中だ。
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