金融・経済コラム
Twitterが日本人にもウケるのはかつてのmixiへのノスタルジー
mixiの3月末決算が先週発表され、とうとう登録者数1000万人も見えてきました。サービス開始から約3年経ちますが、当初は「どうやって儲けるの?」という批判的な意見も少なくなかったので、そのことを思えば隔世の感すらあります。
さて、mixi躍進の一番のきっかけはmixi日記だと個人的には思っています。かつてのmixi日記は、1行日記と1行コメントのオンパレード。その日に行ったことや、食べたものなどのたわいもないことの記録日記だからこそ、書きやすく、そして友人間でツッコミやすかったという特性がありました。それが、メンバー間でのコメント回数、コミュニケーション量を想像以上に膨らませることになります。
このSNS内日記は、SNSの発祥地であるアメリカのサービスでは存在しないものでした。もともとSNSの最初のサービスだったFriendsterの創始者は、友達が異性との出会いの場が少ないとこぼしていたことをきっかけとし、それなら自分の友達同士をオンラインで紹介できるようなサービスを作ればいいじゃないか、というのがサービス開始のきっかけだったと述べています。日本でもSNSは多分にその方面での用いられ方をしていると同時に、いかんせんアメリカのようにパーティー文化ではありませんので、オンライン上で「やあ、元気?」とやるのは抵抗があります。そこで、日本用にテーラーメードする際に役立ったのがSNS内日記だったというのが個人的な考えです。
さて、時は流れて、最近のmixi内を見てみると、依然1行日記や数行日記も多く存在するものの、一方で、ブログ顔負けのオピニオン的内容と分量をmixi日記に書くユーザーも増加しています。これはmixi日記がブログ化していることになるのですが、そうすると全体的な環境、印象としては以前のように気軽に1行日記を書ける感じではなくなってくるのではないでしょうか。
そこで、かつて10文字程度の1行日記を書いて楽しかった、あのmixi開設当初へのノスタルジー(と言ってもたかだか数年前の話ですが、Webの世界では数年は一昔前になってしまいます)を満たしてくれるサービスとして最近人気なのがTwitterではないでしょうか?
この最近盛り上がっているアメリカ発のサービスに関しては、なぜあんな1行会話のサービスが流行るのだといぶかる声がありますが、Twitterが流行ったのはmixiが流行ったのとまさに同じ原理だと考えるとスッキリと納得行きます。SNSは新たな出会いが面白いということで最初は盛り上がったわけですが、一方で、新たな出会いや交流を求めない人達も存在します。でも、多くの人は、既存の友達間での「今何やっているの?」という情報には興味あるということで、そこだけ切り出してしまったのがTwitterかなと思います。インスタントメッセンジャーでも良さそうなものですが、やはり1行日記であることがTwitterの人気の理由でしょう。
Twitterでは、登録に必要な情報はメールアドレスとスクリーンネームだけです。それは、サービスそのものが既知の人達と楽しむことを前提としているからでしょう。mixiの場合は後で加入した人がすでに登録している自分の友達が探しやすいように、メンバーを特定しやすい情報の登録があります。ただ、それらが煩わしい人もおり、かつ、既知のメンバーだけで1行日記をやり取りするならば大してプロフィールはいらないということになります。SNS勃興後はたくさんの情報をサービス登録時に登録することへ抵抗がなくなりましたが、やはり簡単に登録できるサービスの方がユーザーにとっては好まれるということでしょう。
さて、このTwitter、最終的にはSkypeと同じようにどこかに売却というパターンだと思いますが、英語のサービスなのに日本人や中国人など英語圏以外の人達も多数利用していることが面白い現象だと思います。日本発の海外でも通用するWebサービスの開発というのは、いろんな場面で課題やチャレンジとして挙げられますが、Twitterのように過去に存在したサービスを簡略化するノスタルジー的アプローチでもアリなのかもしれない、と今回のTwitter人気を見ていて思いました。
そういえば最近、EC関連企業の社長と話したときも、「今の時代だからこそメルマガが効く」と言っていました。ウェブ関連ビジネスを考えるとき、ヒントは数年前のネットシーンにあるのかもしれません。
保田隆明氏のプロフィール
リーマン・ブラザーズ証券、UBS証券にてM&Aアドバイザリー、資金調達案件を担当。2004年春にソーシャルネットワーキングサイト運営会社を起業。同事業譲渡後、ベンチャーキャピタル業に従事。2006年1月よりワクワク経済研究所LLP代表パートナー。現在は、テレビなど各種メディアで株式・経済・金融に関するコメンテーターとして活動。著書:『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)、『恋する株式投資入門』(青春出版社)、『投資事業組合とは何か』(共著:ダイヤモンド社)、『投資銀行青春白書』(ダイヤモンド社)、『OL涼子の株式ダイアリー―恋もストップ高!』(共著:幻冬舎)、『口コミ2.0~正直マーケティングのすすめ~』(共著:明日香出版社)、『M&A時代 企業価値のホントの考え方』(共著:ダイヤモンド社)、『なぜ株式投資はもうからないのか』(ソフトバンク新書)。ブログはhttp://wkwk.tv/chou/
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