ソニーに聞いた
次世代3倍モード? H.264録画のツボ
ソニーが9月12日に発表したBlu-ray Discレコーダーは、4つのラインアップすべてに圧縮効率の高いMPEG-4 AVC(H.264)エンコーダーを搭載した。これにより、50GバイトのBD1枚にハイビジョン解像度のまま最大約16時間の録画が可能になるという。VHS時代の3倍モードに匹敵する長時間録画機能の登場で、ハイビジョンの画質や使い方はどのように変わるのか。
既報の通り、新製品ではデジタル放送のMPEG-2 TSをそのまま記録する「DR」モードのほかにAVC/H.264を使用する録画モードが6つ用意されている。このうち6Mbpsの「LSR」から15Mbpsの「XR」までがハイビジョン解像度(1440×1080)で、4Mbpsの「LR」と2Mbpsの「ER」はSD解像度だ。
実際にLSRモードで録画した映像と元の映像を同じテレビ(フルハイビジョンのBRAVIA)で横並び比較してみた。たとえば森をバックに犬を撮影したデモ映像では、パッと見た限りでは差がわかりにくい。もちろん、よく見ると樹木の複雑な部分などに細かいブロックノイズが生じているのだが、それは顔を近づけてわかるレベル。もう少し小さい画面だったら、さらにわかりにくいだろう。風景の映像も傾向は同じで、解像度が落ちていることはわかるのに、それが不快な目立ち方をしない印象を持った。
AVC圧縮時には、上下左右のブロックや前後の複数フレームから動きを予測し、それに応じた処理を行う。またデブロッキングフィルタがブロックの境界を目立たなくし、また新たなブロックノイズの発生を抑制するという。ブロックノイズが生じていてもあまり違和感を感じないのは、この点に由来するのかもしれない。このほかにもシーンチェンジによる絵の破綻を抑える機能など、家庭で放送波を録画するために特化したチューニングを施しているという。
ただ、静止画に近いデモ映像だけではイメージが掴みにくい。ビットレートが低くなれば、動きのあるシーンで映像が破綻する可能性が高まるのはMPEG-2時代の常識だった。そこで現在も画質チューニングを進めているソニー・ビデオ事業本部の永井規浩係長と、ホームAVマーケティング部の中村芳彦マーケティングマネジャーにコンテンツの種類による“お薦め”録画モードを聞いてみた。
「標準モードと位置づけているSR(8Mbps)なら、ドラマからスポーツまで幅広く使えると思います。それでも気になるならXSR(12Mbps)。“ここ一番”の番組はDRでしょう」
録画モード設定に関しては、おおむねDVD時代の常識が通用する。つまり動きの大きいスポーツ中継などはビットレートを上げる必要があり、アニメなどは比較的低めの録画モードでも破綻は少ないという。また15MbpsのXRに関しては、地上デジタル放送の録画に使ってもあまり意味はない。「XRは、20Mbps以上の転送レートを持つDVカムコーダーや24MbpsのBSデジタル放送などを想定した録画モード。地デジは11Mbpsや12Mbpsといった番組も多いため、逆にDRよりも容量が増えてしまうことがあります」(同社)
なお、SD画質の放送をHDモードで録画設定してしまった場合でも、自動的にモードを切り替える機能はない。このためDRモードよりもHDD容量を食ってしまうことになるが、録画時にアップスケールすることはないという。「単に容量の大きなSD録画ファイルができあがります。理由は、録画時にアップスケールするより、再生時にかけたほうが画質的に有利だから」
もちろん絶対的な画質を求めるならDRしかないが、選択の幅が広がることはユーザーにとっても、お財布にとってもありがたいことだ。メディア価格も下がりつつあるとはいえ、容量あたりのコストではDVDにかなわない。
またMPEG-4 AVC録画の登場でアーカイブの柔軟性も向上する。たとえば割り切って「ER」モードを使うと、SD解像度の2Mbpsながら1枚のBDに24時間も録画することが可能。画質はともかくとして、「24」の1シーズンを1枚のディスクに収めることができてしまう。「2層なら2シーズンですね」
画質については現在も調整中で、出荷を開始する11月のギリギリまでチューニングが行われるという。したがって今回のデモンストレーションも最終的な画質ではないことをお断りしておく。製品の画質や使い勝手については、改めてレビューを掲載する予定だ。
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