HDMI 1.4が示した“業界の方向性”(2/2 ページ)
3Dフォーマット
HECとともにHDMI 1.4のもう1つの目玉といえるのが、3Dと4K2Kサポートだ。とくに家庭用テレビとBDプレーヤーで3D映像が楽しめる“HDMI-3D仕様”については、パナソニック・高画質高音質開発センターの宮井宏所長が市場動向から詳しく説明した。
宮井氏によると、ハリウッドにおける3D映画の制作は2003年ころから本格化しはじめ、今年は既に10本の公開が決定しているという。3D映画が急増した背景には、デジタルシネマ化でコストを削減できる一方、3D映画によってチケット単価が上がり、劇場あたりの興業収入が3~4倍になっているという状況がある。一方、DVDの普及と成熟化によってホームビデオ部門の売上げは低迷中。「ハリウッドのメジャースタジオはDVDからBDへの移行を加速するため、材料となる家庭用3Dシステムに積極的だ」(宮井氏)。
パナソニックが提案するフルHD×2チャンネルのフレームシーケンシャル方式3Dシアターは、右目、左目のどちらで見る映像も1080/60pにできるのが特徴。解像度が半分になる方式に比べると高精細で、目も疲れにくいという。
HDMI-3D仕様では、映画用の1080/24pとゲーム向けの720/50p、60p(いずれもデュアルストリーム)を基本的な信号フォーマットとした。HDMI 1.4準拠のBDプレーヤーは3D信号の形式をパケットにのせてテレビ側に通知するため、「世の中に10以上はある」という3Dフォーマットをテレビが自動判別し、デコードすると同時に同期制御なども行う仕組み。「手動では煩雑すぎる」(同氏)。
ただし、3Dテレビの市場投入には、Blu-ray Discの規格拡張が欠かせない。BDは2層メディアなら50Gバイトの容量があり、3D映画1本を十分に収録できるが、2ストリームの同時読み出しなどは現在の仕様に含まれていない。宮井氏はこの点について、「BDAでも5月にタスクを立ち上げ、仕様の策定をスタートさせた。早ければ第3四半期、遅くとも年内には結果を出したい」と話している。順調に進めば、パナソニックが目標としている2010年の製品発売は実現できそうだ。
HDMIの適用範囲を拡大する2つの新コネクタ
HDMI 1.4では、2つの新しいコネクターによってHDMIの利用範囲を拡大する。「Micro HDMIコネクター」(Type D)は、通常のType Aコネクターと同じ19ピンながら、2列に配置することで従来のmini HDMIコネクターに比べて約43%の小型化を実現。ポータブル機器でも1080pの映像伝送が可能になるという。
また、車載用のハイビジョン機器向け新しいコネクター仕様「Type E」が追加された。こちらは震動やノイズに対応するためにインターロック機構を設け、さらに用途に合わせていくつかのバリエーションを持つ。Type AコネクターとType Eコネクターの中継ケーブルなども用意して、車載用機器のみならず、ポータブルBDプレーヤーなどの民生機器を車内に持ち込んだ場合にも接続できるようにする。
HDMI 1.4は、その策定の時点から従来のバージョンとは少し違う性格を持っている。今までは、Ver.1.1のマルチチャンネル音声対応(2004年)にせよ、Ver.1.3の帯域幅拡大やロスレス音声ビットストリーム伝送対応(2006年)にせよ、既に顕在化していたユーザーニーズに対応する――逆にいえばAVユーザーの不満を解消する機能を追加してきた印象が強い。
しかし今回は、3Dや4K2K、IPアプリケーションのサポートなど、“今後登場する技術”を先取りしている。これは、HDMIがインタフェースとしての重要性を増し、その規格次第で新しい技術の将来性に影響が及ぶからだ。「HDMI 1.4は、業界がどのように進むのかという、今後の方向性を示している」(Steve Venuti氏)という通り、HDMIは業界の動きをリードする規格に進化した。
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