“動画を楽しむ”という原点に戻る YouTubeのUI刷新の狙い
Googleがこのほど公開したYouTube動画再生ページの新ユーザーインタフェースは、各種の機能をまとめるなどして全体的にシンプルに作り変えているのが特徴だ。「ユーザーは動画をみるためにYouTubeにアクセスする」という原点に戻り、ユーザーの滞在時間を伸ばして、的確なレコメンドや広告との接触機会を増やす狙いだ。
新UIは今年1月からテスト提供を開始。ユーザーからのフィードバックをもとにデザインを構成し、「必要最低限のニーズを満たせるデザイン」にした。それ以上のさまざまな機能を使いたいユーザーには、プルダウンメニューで対応する。
星1つから星5つまでの5段階評価だったレーティングは、「評価する/しない」の2択形式に変更。「星を5つ用意しても多くのユーザーは、1か5という評価しか付けていなかった」(米YouTubeのシヴァ・ラジャラマン シニアプロダクトマネージャー)ためだ。テスト公開時の調査によれば、2択形式に変えることでレーティング数が7%向上。評価した動画をマイアカウントに表示する機能も備えた。
右カラムにあった動画説明文は動画下、再生回数の左側に配置した。説明文、再生回数ともに、プルダウンで詳細を表示。再生回数の詳細を開くとアクセス数の推移グラフや流入元リンクが見られる。
詳細へのリンクはもともと、小さく端に寄せられていた。しかし「ヒートマップを使って再生ページを解析すると、『詳細』を押しているユーザーが多かった。重要な機能により多くのスペースを与えられるように設計した」という。
右カラムには、続けて視聴すべき動画のサムネイル画像を表示。表示される動画は、ユーザーがどこから動画ページに到達したかで変わる。検索結果からであれば検索結果に出ていたほかの動画を、「おすすめ動画」からであればほかのおすすめ動画を表示。表示内容の変更で、「動画の再生数が6%アップした」という。従来は、ユーザーがたどった動線にかかわらず、同じ「関連動画」や「おすすめ動画」を表示していた。
動画表示部の上には、投稿ユーザー名とそのユーザーが投稿した動画の数、チャンネル登録ボタンを配置した。動画数をクリックすると、そのユーザーが投稿したほかの動画のサムネイルを見られる。「チャンネルにアクセスする前に、そのチャンネルに投稿されたほかの動画を知りたい、という声が多かった」という。
YouTubeは昨年、50以上もの新機能を追加したという。その結果、「いろいろな機能がばらばらに配置され、ページはクリックする場所だらけ。何を見ればいいか分からない状態だった」
このため、新UIではユーザーの使い勝手に配慮し、ユーザーの滞在時間増につなげる狙いだ。滞在時間を延ばせば、ユーザーが動画内外の広告と接触する機会も増加するメリットがある。ユーザーの動線をより詳細に把握することで、動画レコメンドの精度も上がる。
ラジャラマンさんは「ユーザーが楽しめる動画を的確にレコメンドしたり、ユーザーのより自然なエンゲージメントを促すことができるようになれば、様々なビジネスにつながる可能性があると思う」と可能性を模索する。
「アメリカでのYouTubeの利用時間は1日15分。対するテレビは5時間も視聴されている」ため、視聴時間は今後も伸ばせるとみている。「30分間見続けられるサイトにすることが重要。1、2年後には、テレビの追加チャンネルの1つのようにYouTubeを楽しんでもらいたい」という。
その一方で「YouTubeがテレビに置き換わることはない」とも断言する。ただ、融合という可能性はある。「Facebookなどで友人が投稿し、共有した動画の何本かを会社のPCで見る。見切れなかった分は家のテレビで――というような使い方が将来できればいい」と話している。
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