長期試用リポート
「DSC-HX5V」第1回――僕がHX5Vを買ったワケ
突然だが、ソニーのデジタルカメラ「DSC-HX5V」を購入した。既にデジタル一眼レフカメラ(キヤノン「EOS 50D」)とコンパクトデジタルカメラ(同じくキヤノン「PowerShot G9」)を利用しており、人物撮影や取材には50D、日常のスナップ撮りにはPowerShotと使い分けていたのだが、ここに3台目のカメラが加わった。まずはなぜ、DSC-HX5Vを購入したか、そのあたりをお話ししたい。
購入に際しての一番強い動機は、PowerShot G9では違和感を覚える場面が多くなってきたことだ。僕がPowerShot G9を購入した理由は、――ISO感度や露出など各種のセッティングを素早くマニュアルで変更できる――、デジタル一眼レフの代替機としての役割を期待してのことだった(レビュー:進化した新Gシリーズ2代目――キヤノン「PowerShot G9」)。
実際、その点についての不満は今でもない。既にバリアングル液晶や操作ダイヤルの変更によって操作性を向上させた後継機も登場しており、最新の「PowerShot G11」ではあえて撮像素子の画素数を有効1000万画素に抑えることで、一層の高画質化を狙っている(永山昌克インタビュー連載:デジカメの画素数競争は終わった?――キヤノン「PowerShot G11」開発者に聞く)。
ただ、高画質化を第一のポイントとして選択するならば、手元には50Dがある。コンパクトデジタルカメラに一眼レフの代替機としての役割を求めるのではなく、デジタル製品ならではの役割を期待したくなった心境の変化が、前述した違和感の正体といえる。
では、デジタル製品ならではの役割、言い換えれば、利用の楽しみとはなんだろう。それを考えることから製品選びは始まった。まず念頭に浮かんだのは動画だった。PowerShot G9で撮影できる動画は最大640×480ピクセルで、コンパクトデジタルカメラでのハイビジョン撮影が当たり前になった今では正直に言って物足りない。まずは最低でも720pクラスのHD動画撮影が可能な機種を候補とした。
それでもまだまだ候補は多い。動画に強いことをアピールする機種をざっと挙げていくだけでも、キヤノン「PowerShot SX210 IS」、パナソニック「DMC-TZ10」、ソニー「DSC-HX5V」などが候補になる。ニコン「COOLPIX P100」やペンタックス「X90」は動画に強く、レンズ倍率も高いが、ボディサイズの面から今回の候補からは外した。オリンパス「PEN Lite E-PL1」やパナソニック「DMC-GF1」といったHD動画撮影が可能なマイクロフォーサーズ勢も検討したが、今回求めているのは“一眼”ではないのでこちらも除外した。
次に考えたのは、「コンパクトデジカメならではの機能」だ。パナソニックが今シーズンのモデルに搭載してきた「超解像」や富士フイルムらが製品へ搭載した「ペット検出」、カシオ計算機の“HIGH-SPEED EXILIM”シリーズの超高速連写/動画撮影機能など実際の機能を挙げていけば多岐に渡るが、今回は、高速センサー搭載による高速処理/連写を応用した機能を重視することにした。具体的には、連写画像の重ね合わせによるダイナミックレンジ拡張機能や、夜景撮影時の手ブレ防止/画質向上などだ。
最後に考えたのは、デジタルの撮影データを活用できる「+α」の付加機能だ。写真/動画共有サイトへの気軽なアップロードやGPSによるジオタグ埋め込みなどは銀塩の時代では考えられなかったことなので、その恩恵にあずかりやすい機種を選びたかったのだ。
無線LANについては、ついこの前までソニー「サイバーショット」シリーズとニコン「COOLPIX」シリーズの一部が内蔵していた程度だったが、最近ではEye-Fi対応の機種も珍しくなくなった。GPSによるジオタグ埋め込みが可能な機種も複数登場した。無線LANについてはEye-Fiカードを差し込むことで対応できるだろうと考え、ここではGPS搭載の機種を選ぶことにした。
まとめると、「動画に強く」「高速処理/連写を応用した機能を搭載」「GPS搭載」が自分にとって欲しい機能であるということになった。この3条件を満たす機種として最終候補に残ったのが、ソニーの「DSC-HX5V」とパナソニックの「DMC-TZ10」だった。数少ないGPS搭載機種としてニコン「COOLPIX P6000」も考えたが、COOLPIX P6000については発売から時間がたっている(2008年秋登場)なうえ、撮影できる動画が640×480ピクセルまでなので除外した。
DSC-HX5VとDMC-TZ10については最後まで迷った。いずれも25ミリからの広角に強いレンズを搭載しており、望遠にも強い(DSC-HX5Vは25~250ミリ、DMC-TZ10は25~300ミリ)。デジタルならではの処理という意味でも、DSC-HX5Vは高速連写による手持ち夜景機能やダイナミックレンジ拡張機能、DMC-TZ10は超解像技術を利用した画質補正など、興味深い機能を搭載している。ただ、2番目に挙げた「高速処理/連写を応用した機能を搭載」という観点から、DSC-HX5Vのほうが“面白そう”と考え、実際に購入した。
まだ購入してからさほど時間がたっていないので、備える機能をフルに活用しているとはいえない状態だが、動画を撮影しているとバッテリーの減りが想像より早いのは気になるものの、おおむね満足している。画像の重ね合わせによる逆光補正や手持ち夜景モードは想像以上に効果的で、DSC-HX5Vを選んでよかったと感じる場面が多かった。
ただ、1点気になるのがPCやテレビとの接続についてだ。DSC-HX5Vは本体にUSBやHDMIといった汎用端子を備えておらず、PCやテレビに接続する際には付属の専用ケーブルを介して接続する。HDMI接続する際も、付属ケーブルにHDMIアダプタを取り付ける必要がある。HDMIはとにかく、専用ケーブルがないとPCとUSB接続できないのは面倒。メモリカードを抜き差ししてやれば済む問題なのだが、それでは一手間必要となる事態もあるのだ。
次回では「その事態」を含め、GPSがらみの話をしてみたい。
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