「Jailbreakは合法」の決定、Appleは対抗するのか
iPhoneユーザーが自分のスマートフォンを「Jailbreak(ロック解除)」して、Apple非公認のソフトを実行するのは合法だという7月26日の米連邦当局の決定に、Appleは歯がみしていることだろう。だが、Appleがそれに対抗する機会は限られるかもしれないと、少なくとも1人のアナリストは指摘している。
「Appleが品質と利益を確保しているのは、主にエコシステムを支配していることによる」とEnderle Groupの主任アナリスト、ロブ・エンダール氏は7月27日にeWEEKあてのメールで述べている。「同社はその支配権をたやすく捨てたりはしないだろうが、政府当局の方が同社よりもずっと強いことに気づくだろう。Microsoftもそうだった」
エンダール氏はこうも付け加えている。「Appleは初めは、このような決定を回避して、支配権を主張しようとするだろうが、おそらくは多くの人が考えているほど当局は愚かではないと気づき、利益と品質を確保する別の手段を見いだすだろう」。Appleが行動に出たいと思っているかどうかによっては、「短期間で済む戦いにも、安く上がる戦いにもならないだろう」と同氏は言う。
今回のJailbreakに関する決定は、電子フロンティア財団(EFF)の2008年の嘆願に応えてのもの。同団体は、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に3つの適用除外事項を入れるよう求めていた。アマチュア動画クリエイターが「フェアユースの範囲内でのリミックス」のためにDVDの映像をリッピングすること、携帯電話ユーザーが「好きな携帯電話ネットワーク」を使えるようにするために端末のロックを解除すること、スマートフォン所有者が端末をJailbreakして「好きなアプリを使えるようにする」ことの3つだ。
1998年に成立したDMCAは、ユーザーがコンピュータプログラムなどの「作品」へのアクセスを制御する「技術的対策を回避、う回、削除、無効化、損なう」ことをおおむね禁止している。
米著作権局の監督組織として、米議会図書館はEFFの嘆願を支持する決定を下し、ほかにもビデオゲーム、「ドングル」で保護されたコンピュータプログラム、電子書籍フォーマットで配信される文学作品についての3つの除外事項を追加した。
米議会図書館は声明文で、Jailbreakと「ほかの携帯ネットワーク(を使うためのロック解除)」に関する除外項目を以下のように概説している。
「(2)携帯電話がソフトウェアアプリケーションを実行できるようにするコンピュータプログラムで、合法的に入手されたアプリケーションの相互運用性を実現するためだけに、携帯電話端末上のコンピュータプログラムで(ロックを)回避する」
「(3)携帯電話をワイヤレス通信ネットワークに接続できるようにする、ファームウェアあるいはソフトウェアの形をしたコンピュータプログラムで、そのコンピュータプログラムの所有者があるワイヤレス通信ネットワークに接続するためだけに(ロックの)回避を行い、そのネットワークの運営者からアクセスの許可を得ている場合」
厳密には、この文言はiPhone以外のスマートフォンにも適用される。Appleは特に、定期的にJailbreakを厳しく批判していた。同社は2009年に著作権局からの質問に対し、JailbreakはAppleとiPhoneユーザーのライセンス契約に違反しているだけでなく、幅広い破壊行為につながり得ると主張していた。
「音声・データ通信サービスの提供でAppleと提携する前、AT&Tにとって、悪意あるユーザーが――善意のユーザーでさえも――ネットワークに混乱を引き起こしかねないiPhoneハッキングへの対策が不可欠だった」と当時のAppleの回答書にはある。「JailbreakはBBP(ベースバンドプロセッサ)ソフトのハッキングをはるかに容易にするため、ハッカーがネットワーク上で多数の望ましくない活動を行う手段を与える」
そうした望ましくない活動の1つが、複数台のスマートフォンで同じECID(Exclusive Chip Identification:基地局が端末を識別するのに使う番号)を使って基地局に接続する行為だ。基地局のソフトをクラッシュさせる可能性がある。
Appleは、EFFの嘆願を実現するには、iPhoneのファームウェアの暗号を解読して改造する必要があり、このようなブートローダーとOSの改造はIP SLA(インターネットプロトコルサービスレベル契約)に違反すると主張している。同社はその後、iPhoneでJailbreak防止の対策を取った。
Appleの広報担当者は26日にCult of Macに、iPhoneをJailbreakすると保証が無効になるのは変わらないと語った。
「Appleの目標は常に、顧客がiPhoneで優れたユーザー体験を味わえるようにすることであり、われわれはJailbreakがユーザー体験を著しく損ない得るということを知っている」と同社の広報担当者は語ったと、Cult of Macは伝えている。「以前にも言ったとおり、大多数の顧客はiPhoneをJailbreakしていない。保証が無効になり、iPhoneが不安定になり、信頼性が低下するからだ」
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