本田雅一のTV Style
4Kテレビとデジタルカメラの相性(3)
前回、デジタルカメラの撮像素子はベイヤー配列になっているため、例え1000万画素のセンサーでも色の情報が1000万画素分、フルに詰まっているわけではないと書いた。今回はさらに、輝度情報について話を進めていきたい。
「ベイヤー配列でも輝度信号はきちんとそろっているんだよね?」と思うかもしれないが、実はそのままベイヤー配列のタイルから色信号の復元処理を行うと、輪郭や細かなテクスチャーのある領域が、とんでもない色の模様で埋め尽くされることがある。これは”偽色”というもので、カラーフィルターの配置パターンと実際の映像パターンの繰り返し頻度が干渉して起こる。
この問題を避けるため、撮像する前にローパスフィルターという光学フィルターをセンサー前面に取り付けて撮影する。ローパスフィルターとは、映像から高域情報を取り除くもので、もっと簡単に言えば”映像をボケさせる”フィルターだ。均一に映像にボケさせてベイヤー配列のセンサーに光を当てることで、干渉の度合いを下げている。
均一なボケを与えているため、これを最終的にはボケて見えないように処理は行うのだが、一度捨ててしまった情報が見えてくるはずもなく、画質低下の原因の1つになっている。
この問題を克服するため、例えばオリンパスであればローパスフィルターがカットする周波数を高くする信号処理を採用したり、富士フイルムであればベイヤーではない、異なったカラーフィルター配置をすることで偽色やモアレを低減する工夫をしている。さらに先日発表されたニコンの「D800」には、ローパスフィルターの働きを抑制した「D800E」という別バージョンのカメラが用意された。D800Eは信号処理で偽色問題を解決しようとしたものだが、完全には処理できない。そこで2つのモデルを用意し、ユーザーに選ばせることにしたわけだ。
編集部注:初掲載時、D800Eについて「ローパスフィルターを使わない」という記載がありましたが、実際には光学ローパスフィルターの働きを光学的な構成で抑制することで、レンズからの光をより直接的にCMOSセンサーへと導き、解像感を高めています。お詫びして訂正いたします。
このようなわけで、色の情報に関しても、輝度の情報に関しても、”1000万画素=1000万画素分に情報がたっぷり詰まっている”わけではないことが分かっていただけただろうか。また、同じ1000万画素でも、小さなセンサーで捉えた(小さな光学回路の)写真と、大きなセンサーとコストがかかったレンズの写真では、まったく映像の深みが違う。
つまり、4K2Kのディスプレイの画素数は約800万だが、では今の一般的なデジタルカメラに対して不足かというと、そうではないということだ。それに、拡大して表示したり、トリミングすることを考えると、写真の解像度がオーバークオリティーであることに意味がないかというと、そんなことはない。
これだけ高画質なデジタル写真が簡単に撮影できるようになったのだから、テレビメーカーはこれを生かせる製品作りに力を入れてほしいものだ。表示の際には画素数変換が必ず行われるが、そのときの縮小フィルターの作り方ひとつで、画質は大きく変化する。
また、写真を表示する機能に関しても、より手軽にテレビとカメラが連動するよう、無線でのデータのやりとりはもちろん、簡単かつシームレスに連動するための協業を勧めるべきだろう。また、テレビメーカーだけでなくカメラメーカーも、本気で取り組まねばならないテーマである。印刷からディスプレイへのシフトは、今後その速度を速めていくのだから。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本田雅一のTV Style
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
2
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
5
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
6
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
7
Apple、「iPad mini」を大幅刷新 8.5インチOLEDとA20 Pro搭載、防水にも対応 11万9800円から
-
8
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
9
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
10
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR