世界中に大学の知を無料で――広がるオンライン大学「MOOC」 トップレベルの学びを誰にでも(3/3 ページ)
日本語で学べないという“教育格差”
山内准教授は、数年に渡るMOOCの広がりを目にし、実際にグローバルプラットフォームで講義を配信したことで国内での同種の展開が必要と確信を深めたと話す。
「留学レベルの英語がなければこの環境にアクセスできない、知的興奮を体験できないのは、ある意味グローバルな“教育格差”。積極的に英語の学びの場に飛び込む人を増やしていくのが重要なのはもちろんだが、日本のように母語で高等教育が受けられる貴重な環境をもっと生かせれば。学問として学べる対象も学びたい人も多いのに、大学がその場を提供しないのはもったいない」(山内准教授)
日本初のMOOCプラットフォーム「gacco」を、NTTドコモらと連携し4月に立ち上げる。まずは「日本中世の自由と平等」(東京大学 本郷和人教授)、「インターネット」(慶應義塾大学 村井純教授)、「国際安全保障論」(早稲田大学 栗崎周平准教授)の3コースからスタート。ファッションやサブカルチャー、俳句、統計学、経済物理学などの授業も順次開講予定だ。13大学からの講座提供がすでに決定しており、今後講座数は増やしていく。英語コースによる多言語展開など、アジアを中心とした日本文化に関心の高い海外学習者の獲得も狙う。
世界の一流大学に限定して講義を配信している英語圏のMOOCと異なり、gaccoは日本のより広い教育機関を対象としている。国内の有名大学はもちろん、ファッションや栄養学など専門教育機関が強い分野も含めて展開していきたいと話す。
既存のMOOCで自主的な勉強会が盛んな様を受け、4月開講の「日本中世の自由と平等」では対面授業への参加を含めた「反転学習コース」を世界で初めて導入。前述の自主勉強会と異なり、オンラインでの学習を踏まえ、より発展的な内容を講師が直接講義する機会を設ける。「既存のオープンキャンパスや市民講座より一歩進んだ、よりリアルな大学授業に近い形式」と、オンライン/オフラインのハイブリッドな教育形態を模索する。
山内准教授は「『社会人向けに、ビジネスに役立つ実学だけでよいのでは?』と問われることがあるが、歴史や文化、科学に関わる最先端の議論を知るのは、どんな仕事や分野にいても必ず役に立つ新しい教養であり、イノベーションにつながる。登録も受講も無料、合わなければやめられるのもMOOCの利点。新しいことを知り学ぶこと、それ自体を多くの人に楽しんでほしい」とし、国内での普及・発展を目指していく。
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