山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」
増税前の駆け込み推奨モデル! ソニー「VPL-VW500ES」とパイオニア「SC-LX87」の自腹インプレッション(3/3 ページ)
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アブストラクトな音楽が徐々にクレッシェンドしていき、ピタッと無音になるオープニング・シークエンス。ここでの「SC-LX87」の表現力はたいへんすばらしく、丁寧に音質を磨き上げたクラスD アンプならではと思えるダイナミック・コントラストの鮮やかなサウンドが聴ける。とくにハイレベル方向の余裕度にIR製ダイレクトパワーFETを用いたクラスDアンプの熟成具合を実感した次第だ。
また、パイオニアAVアンプが数世代前から積極的に推進している「フェイズコントロールプラス」もいっそう進化している。これは、ビデオコンテンツ制作時の不備に起因するLFE チャンネルの時間遅れを補正するもので、ことにメインチャンネルとLFEチャンネルの相関性が高い音楽ライヴ作品で重要な役割を果たす機能だ。一昨年の「SC-LX86」でこの機能のフルオート化が果たされたが、新しい「SC-LX87」ではその精度をいっそう追い込むとともに、本体ディスプレイ、または操作アプリ(iControl AV2013)上でその補正値を確認できるようになった。
例えば、ドルビージャパンが全面協力したというサカナクションのライブBD「SAKANAQURIUM 2013/LIVE at MAKUHARI MESSE 2013.5.19」を再生してみて、オートフェイズコントロールプラスの本体表示を見ると、このソフトのLFEチャンネルの遅れは10ミリ秒前後だということが分かる。試しにこの機能をオフにすると、ベースやキックドラムの音に締まりがなくなり、このバンド特有のグルーヴ、魅力が後退した印象になるのだ。実際にさまざまなマルチチャンネル収録音楽作品をチェックしてみると、このLFEチャンネルが遅れているコンテンツが多いことに気づく。この機能のオン/オフの聴感上の違いはとても大きく、とくに音楽ライブ作品を愛好するAVファンには、必須の機能といっていいかもしれない。
ところで、「SC-LX87」には「SC-LX77」という弟モデルが存在する。調べてみると、機能面での違いはただ1つ。USB-DAC機能の有無だけだ(もちろんSC-LX87が有り)。スペック表示の最大の違いは出力表示で、SC-LX87が250ワット/ch(4オーム)で、「SC-LX77」が250ワット/ch(同)。9チャンネル同時出力時は「SC-LX87」が810ワット、「SC-LX77」が770ワットと表示されている。これは電源回路の余裕度の違いによるもので、クラスDアンプ・セクションの構成はまったく同じという。
それならば、値段差が10万円近くあることを考えれば、USB-DAC機能が要らない人は弟機の「SC-LX77」を買ったほうがよいのでは? と考え、じっくり聴き比べてみたところ、予想以上の音質差を実感する結果に。音楽のスケール感の表現や響きのきめ細かさ、力感などすべてのファクターで「SC-LX87」が勝っていることが分かった。上級機だけに「SC-LX87」の音質チューニングにいっそうの手間と時間と愛情が注入されていることは間違いないようだ。パイオニア製高級AVアンプを狙っている方は、少し無理をしてでも「SC-LX87」をお求めになることをお勧めしたいと思う。
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