「クロネコメール便」廃止 「信書」めぐり「顧客が容疑者になるリスク、放置できない」
「お客様が容疑者になるリスクを放置できない」――ヤマト運輸は1月22日、小型の荷物を郵便受けに投函するサービス「クロネコメール便」を3月31日受け付け分で廃止すると発表した。郵便法で禁じられている「信書」を、そうと知らずにメール便で送った顧客が罪に問われるリスクを防ぐためという。
代替サービスとして、小さな荷物を送りたい個人・法人向けに「宅急便」を拡充するほか、法人向けには非信書に限定した「クロネコDM便」を4月1日から提供する。メール便はネットオークションや通販、フリマアプリなどで配送手段に広く使われており、ネットユーザーへの影響は大きそうだ。
メール便顧客が郵便法違反で摘発、5年で8件
クロネコメール便は、A4サイズで厚さ2センチまでの荷物を郵便受けなどに投函するサービス。厚さ1センチ以下なら82円、2センチ以下なら164円で配送でき、低価格な配送手段としてネットオークションや通販、フリマアプリユーザーなどに広く使われている。
ただ郵便法では、手紙や納品書など「信書」を日本郵便以外の事業者が行うことを禁止。違反すれば、送り主と運送事業者に3年以下の懲役か300万円以下の罰金が課せられる。メール便で「信書」を送ることも罰則の対象となり、2009年7月以降、クロネコメール便を利用して顧客が信書を送ったとして、郵便法違反容疑で書類送検されたり、警察から事情聴取されたケースが計8件あったという。
信書の定義はあいまいで、ヤマト運輸によると、個人向けの書類について、信書かどうかを総務省の窓口に問い合わせても、即答してもらえないケースが多いという。
また、普段から郵便や宅配便を利用している顧客を対象にした同社のアンケート調査で、「何が信書に当たるかを理解している」人は23%、「メール便で信書を送ると罰則を受ける可能性があると知っている」人は3.8%に過ぎなかった。「法違反の認識がないお客さまが容疑者になるリスクをこれ以上放置することは、当社の企業姿勢と社会的責任に反するもの」とし、同社はクロネコメール便の廃止を決めたという。
同社は2013年、信書をメール便で送った顧客が罪に問われないよう、総務省の部会で「信書を送っても運送事業者のみが罪に問われる基準にすべき」などと訴えてきたが受け入れられなかったとしている。
個人向けは宅急便を拡充、法人向けは「DM便」
小さな荷物のやりとりにクロネコメール便を利用している個人・法人向けには4月1日から宅急便サービスを拡充。宅急便「60サイズ」未満の荷物を、400円台から(専用ボックス代込み、地域別運賃)翌日に対面配達するサービスを始める。また、法人と、契約フリマサイトの個人ユーザー向けには、CDやDVD、トレーディングカードなどをポストに投函する新サービスを全国一律料金(相対契約)で提供する。
さらに、法人向けには、事前に内容物の種類を確認できるカタログ、パンフレットなどの「非信書」に限定し、運賃体系も見直した上で、4月1日から「クロネコDM便」と名称を変更してサービスを継続する。
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