9chサラウンドも視野に
ハイレゾ・5chサラウンド“弦楽五重奏”のバッハ「The Art of Fugue ― フーガの技法」はこうして生まれた(2/2 ページ)
演奏家はホールを楽器としてとらえる
本プロジェクトは半年にも及んだと言うが、演奏メンバーである「UNAMAS FUGUE QUINTET」も今回のために結成された。第1バイオリンの田尻順氏、第2バイオリンに前回の四季ではリーダーを務めた竹田詩織氏、ビオラに萩谷金太郎氏、チェロに内田佳宏氏、そしてコントラバスに北村一平氏で構成される。
このフーガの技法は、もともと弦楽器のために書かれた曲ではなく、メンバーの皆さんもこれまでステージで演奏したことがなかったという。収録日数も2日と短く、限られた時間の中で正確に弾きこなすだけの技量も求められる。とはいえ、各メンバーとも腕が立つだけでなく、バイオリンの田尻氏と竹田氏、コントラバスの北村氏は東京交響楽団で演奏を行っている、いわば気心が知れた仲であり、上記の懸念も全く問題にならなかったそうだ。
自身が演奏したハイレゾ・サラウンドについて聞くと、「2chとは解像度が全く違いますね。演奏者はライブ以上に力量が問われる一方、演奏のバランスを気にせず、力一杯伸び伸びと音を出せます」と田尻氏が言うと、「大賀ホールで演奏できるということでモチベーションがアップしますし、音色で悩まずに済むのもいいですね」と竹田氏も感想を述べた。
また、両氏とも「本当にこんなにうまく演奏していたのかな、と思えるサウンドでした。まさに演奏しているステージ上の音がそのまま聞こえるのも驚きです」と口をそろえたのが印象的だった。
ミック沢口氏は、自身が主張する“没入感サラウンド”を推進すべく、5chサラウンドに続き、9chサラウンドでの配信も視野に入れているという。さらに、ヘッドフォンやイヤフォンといったモバイル環境でのリスニングに最適化されたエンコード技術「HPL」を使った作品も積極的に手がけていきたいとのこと。事実、四季は5chのマスター音源を元にしたサラウンドの定位もヘッドフォンで再現可能な「HPL5」で提供されており、このフーガの技法がHPL化されるのも時間の問題だろう。
6月4日のダウンロード販売まで待てない人は、ぜひ「The Four Seasons」のサラウンド版やHPL5版を試してほしい。ミック沢口氏がサラウンド・サウンドを勧める理由が、文字通り体感できるはずだ。
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