国立大の文系学部見直し通知は「大きな疑問」 日本学術会議が声明
日本学術会議(会長:大西隆 豊橋技術科学大学学長)幹事会は7月23日、文部科学省が6月に各国立大学に通知した、文系学部の廃止やほかの分野への転換を求めた通知について、「大きな疑問がある」と批判する声明を発表した。
文科省は6月、各国立大学に通知した「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(PDF)で、18歳人口の減少を見すえ、教員養成系や人文社会科学系の学部について、「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努める」などとした。
これに対して日本学術会議は声明で、「人文社会科学には独自の役割に加え、自然科学との連携によって世界の課題解決に向かうという役割が託されている」と指摘。人文社会科学のみを取り出して「組織の廃止や社会的要請への高い分野への転換」を求めることには「大きな疑問」があると批判する。
「社会的要請の高い分野」の定義については、「具体的な目標を設けて成果を測定することになじみやすい要請もあれば、長期的な視野に立って知を継承し、創造性の基盤を養う役割を果たすという社会的要請もある」と指摘。「前者のみに偏り後者を見落せば、社会の知的豊かさを支え、より広く社会を担う人材を送り出すという大学の基本的な役割を失いかねない」とする。
教員養成学部の見直しについては「18歳人口の減少という見通しと関連するものと思われる」としつつ、「18歳選挙権の実現ひとつ考えても、高校までの教育の質に対する期待と要請が高まっており、それを支える教員の質と量については多面的な検討が求められる」と指摘する。
一方で、人文社会科学の大学教員は「現代社会でどのような人材を養成し、どのような役割を果たしうるかについて、これまで社会に十分説明してこなかった面があることも否定できない」とし、「これらの点の考究を深め、教育と研究の質的向上に反映するために一層の努力が求められる」としている。
同会議は現在、学術振興の観点から国立大学の在り方を検討する委員会を設置して審議を進めており、審議を通じ、大学のあり方に関する考えを提示するとしている。
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