「グローバルとデジタルでシナジー」「編集権の独立は維持」――日経、FT買収の狙い(1/2 ページ)
「グローバルとデジタルでシナジーを出す」――日本経済新聞社の岡田直敏社長は7月24日、英経済紙Financial Times Group(FT)買収について記者会見し、狙いを語った。経営陣や編集局長などは維持し、編集権の独立も維持。リストラなどの予定もなく、「経営に細かく口を出すことはない」としている。
FTの親会社・英Pearsonから5週間前に売却の打診があり、今週、岡田社長らがロンドンを訪れて交渉。帰国後の23日に電話会議を開いて価格を決め、その場で契約したという。8億4400万ポンド(約1600億円)で全株式を取得。資金は自己資金と外部からの借り入れで調達し、順調にいけば買収手続きは年内に完了する見通しだ。
狙いは、グローバル報道の強化とデジタル戦略の推進。FTが伝える幅広い国際情報を日本の読者に提供するほか、FTのブランドや人材を生かし、アジアのニュースを英語で伝える「NIKKEI ASIAN REVIEW」を強化する。デジタル戦略では、先行するFTのノウハウを日経電子版に採り入れる。広告などビジネス面でのシナジー効果にも期待する。
グローバル競争を勝ち抜けるメディアに
「世界のメディア市場は紙と電子をミックスした戦いになっている。FTとの一体化によって、グローバル競争でかなり強力なメディアになれるのではないか」――岡田社長は狙いを語る。
同社はここ数年、アジア地域の企業の報道を強化しており、13年に「NIKKEI ASIAN REVIEW」を創刊。アジアの記者数は、外国人記者を含め、ここ1年ほどで倍増させたが、「日本のメディアがグローバルでプレゼンスを高めるのはそう簡単ではないと分かってきた」という。
FTのブランド力や人材を活用し、NIKKEI ASIAN REVIEWの記事を充実させるほか、グローバルでの“NIKKEI”の存在感を高める狙い。「買収によって時間を買う。コンテンツの相互補完、人材交流を行いながらグローバル戦略を一歩早く進めたい」
もう1つの狙いはデジタル戦略の推進だ。FTのデジタル版「FT.com」は有料読者が約50万人、日経電子版は約43万おり、合わせると世界最大規模の有料デジタルメディアになるという。FTは社内にエンジニアをかかえ、システムやサービス開発、顧客管理などの面で「一歩先を行っている」。日経はFTからデジタル戦略を学び、日経電子版に取り入れる。
将来は、データベースサービス「日経テレコン」にアジア企業のデータも収録し、FTとともにグローバルに販売するといったことも検討する。
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