FacebookがビジネスSNSに本腰 「Workplace」日本展開の狙い
Facebook日本法人は5月17日、企業向けSNS「Workplace by Facebook」を日本で正式提供すると発表した。国内ではビズリーチやコロプラなど300社ほどが先行導入しており、正式提供を期にユーザー獲得を目指す。
Workplaceは、Facebookのユーザーインタフェースを踏襲したビジネスSNS。画像やファイルを投稿したり、他ユーザーの投稿にコメントを付けたり、Messenger(チャットアプリ)でメッセージをやり取りしたりできるのはFacebookと同様だが、違いは「全て仕事用」であるということだ。
導入企業は、従業員1人1人のWorkplaceアカウントを作成できる。ライブ動画配信やグループ作成などの機能も同僚や仕事関係者との間だけで使えるため、私的な投稿やメッセージが送信されたり、友人のプライベートな投稿や広告が表示されたりしないのがメリットだ。WorkplaceアカウントはFacebookを利用していない人でも作れる。
米FacebookでWorkplace事業を担当しているナクル・パテルさん(Workplace事業アジア太平洋地域責任者)は「仕事のためのツールであることが重要だ」と話す。「日本では多くの人が仕事に時間を費やしている。35億人の『働いている人』の目的達成に貢献する」。
導入企業は自社がオーナーとしてデータを保有する。Facebook社も、企業がWorkplaceでやり取りしている情報にアクセスすることはできないという。
企業での利用に合わせ、IdP(Identity Provider)が発行したID・パスワードでのシングルサインオンに対応するほか、第三者機関による国際認証(SOC2)に準拠するセキュリティ対策を実施。管理者用ページでは、従業員がどのようにグループを使っているか、どんなグループが活発に使われているのかなどを分析することもできる。
「Facebookを仕事で使う人が増えてきた」――Workplace開発の狙い
FacebookはなぜWorkplaceを開発したのか。パテルさんによると「(Facebookの)内部から起こってきた動き」だという。「Facebookが世界的に成長する中で、Facebookの『秘密のグループ』を仕事用に使う人が増えてきた。(これからの仕事では)メールを基本とするやり取りでは難しいと思った」。
「スマートフォンはたった5年で、テレビが60年かけたのと同じくらい普及した。人々は日々の生活でアプリを次々と刷新してきたが、職場のツールはそうではない。だから個人で使っているいいものを、職場に持ち込もうとする動きがあった」(パテルさん)
こうして生まれたWorkplace。だが「企業向けコミュニケーションツール」には競合も多い。企業がWorkplaceを導入する意義はどこにあるのか。パテルさんは(1)人々が慣れているユーザーインタフェース、(2)モバイル端末で使いやすいこと、(3)ビジネス専用であること、(4)Facebookから切り離され、セキュリティが強化されていること――を挙げる。
「Workplaceの使い方はFacebookとほとんど変わらず、誰でもすぐに使える。モバイル端末で仕事をしている人が主流のいま、モバイルファーストであることは強みになる。ビジネス専用だからこそ、ビジネス上の機密なやり取りやチーム内コミュニケーションも行える。Facebookからは独立しているから、セキュリティも問題ない。私的な情報を流さずに済む」
すでにWorkplaceを導入した企業からは「Workplaceの導入はマインドセットの変革だ」という声もあるという。パテルさんは「Workplaceは、フラットでオープン。いたるところでコミュニケーションが起こり、アイデアが生まれる、これはFacebookの在り方そのもの。それをサービスとして提供したい」とした。
「日本はインスピレーションの源泉」
日本では先行導入企業でのテスト運用を通じ、日本語環境で正しく機能するかなどを検証してきたという。世界中でサービスを展開しているFacebookがなぜ、日本向けにWorkplaceの本格提供に乗り出したのか。
「われわれは日本をインスピレーションの源泉であり、モバイル先進国だと考えている。Facebookに実装した『リアクション』機能は日本の絵文字から、『安否確認通知』は東日本大震災からそれぞれインスピレーションを受けた。そうして日本から得たものを、われわれはグローバルに寄与している」(パテルさん)
また、同じくWorkplace事業を担当している豊田哲太郎さん(Workplace事業アジア太平洋地域担当グロースマネージャー)は「日本ではチャットが導入されていない企業が70%以上。毎朝長時間かけて出勤する労働スタイルや、深夜まで働く労働時間などの問題に対し、働き方改革をサポートできる可能性がWorkplaceにはある。ローンチを通じて日本の労働環境の改善にも貢献していきたい」とした。
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