ソニー銀行、クラウドファンディングに参入 「新しい資産運用の形に」
ネット専業銀行のソニー銀行は8月8日、ベンチャー企業向けのクラウドファンディングサイト「Sony Bank GATE」をオープンした。参加企業が、ソニー銀行口座を持つユーザーから出資を募り、売上高に応じて分配金を支払う「投資型」クラウドファンディングだ。ベンチャー企業の資金調達を支援する一方、同行のユーザーには新しい資産運用の選択肢を提供する考え。邦銀としては初の試み(同社調べ)。
新規事業に挑戦したい企業(挑戦企業)と、投資したいユーザーをネット上で結び付け、少額ずつ出資金を募る。出資金は償還しないが、事業計画通りに売上高を達成すれば、出資相当額を上回る分配を行う仕組みだ。未達成の場合は、分配の保証はしない。対象になる会計期間は1~3年間。
出資できるのは、ソニー銀行口座を持つ満20歳以上のユーザー。プロジェクトによるが、1口5万円~10万円程度から出資でき(1人当たりの出資上限は原則500万円未満)、手数料は不要。募集期間内(30~60日間)に目標金額を達成すれば、出資が成立する。
ソニー銀行は、挑戦企業の審査、ファンドの募集・管理などを担当し、企業側から手数料を取る。投資家には、挑戦企業の事業詳細や進捗状況を報告し、分配金を支払う。今後3年間で70件以上の案件を取り扱い、累計40億円以上の資金調達を目指すという。
第1弾として、IoT(Internet of Things)ベンチャーのリンクジャパン(東京都港区)が挑戦。スマートフォンアプリを使い、外出先から自宅の家電を操作するデバイス「eRemote pro」の商品化に向け、資金を募る。
「ベンチャーキャピタルに頼ると、上場時に株式譲渡が発生するので、独自性が保てなくなる」――リンクジャパンの河千泰進一CEOは、そんな心配をしなくてすむのが、Sony Bank GATEの魅力と語る。クラウドファンディングにより、商品化前にユーザーの反応をチェックできるなど、マーケティング効果にも期待しているという。
「新しい資産運用の形に」
「いち早くネット銀行に参入し、先進性を発揮してきたが、いまや銀行でネット取引ができるのは常識」――ソニー銀行の住本雄一郎社長はそんな危機感を語る。そうした中で「新サービスを創出し、ユーザーにどう価値を提供できるかを考えてきた」という。
そこで着目したのが、ソニー銀行ユーザーの“投資ニーズ”だ。同行の田中浩司執行役員によれば、口座を持つユーザーから「事業内容に共感できるベンチャーに投資したい」「資産運用の選択肢として、クラウドファンディングを利用したい」との要望があったという。同行が抱える口座数は124万(2017年3月末時点)。
こうした投資意欲が高いユーザーがいることに加え、ネット金融サービスの運営で培ったノウハウなどが「ネット銀行としてクラウドファンディング事業に参入する強みになる」(田中執行役員)という。
「投資するユーザーにとっては、投資先の顔が見え、共感・応援できる。挑戦する企業は、思いを金融商品の中に込められる――そんな新しい資産運用の形になると考えている」(住本社長)
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