太田智美がなんかやる
アイスクリーム工場の「黄色いロボット」、自分が凍らないよう50分に1度自力で運動 グリコ工場に潜入してきた
江崎グリコは7月13日、同社初となるアイスクリームの見学施設「グリコピア CHIBA」(入館無料)をオープンした。ここでは、「パピコ」や「セブンティーンアイス」などが製造されている。
工場と言えば、機械がガションガションと定期的なリズムを刻み、材料が徐々に組み合わさって完成していく姿をじーっと見るのが醍醐味(だいごみ)。新しい見学施設ができたのであれば、これは行かなくてはならない。場所は、千葉県野田市。
施設に入ると、あのキャラクターが壁一面でお出迎え。この壁の中にはスクリーンがあり、江崎グリコの歴史や工場の説明を映像で見られる。ちなみに、「グリコ」は「グリコーゲン」から来ているのだとか。子どもの成長を願い、「牡蠣の煮汁に含まれるグリコーゲンを子どもが好きなお菓子に入れてはどうか」という発想からきたものだという。
はっとする仕掛けが
説明が終わると、早速生産ラインの見学へと移動。初めに、強い風を吹き付け体に着いたほこりなどを取り除く「エアシャワー」を体験。工場では異物混入などを防ぐための安全管理が徹底されており、10の工程をクリアしないと入れないようになっているほか、作業服にはICチップが埋め込まれ、製造室に入退出する際に記録されるという。
材料は、温度帯の異なる倉庫(「常温倉庫(20度)」「チルド倉庫(3度)」「冷凍倉庫(-25度)」)で管理され、約24時間かけてそれらを混合。殺菌・脂肪の粒の均質化処理を加えた後、巨大なタンクが集まる場所へと移動する。
ここではちょっとした仕掛けが。巨大タンクを模したボックスの中に霧でできたスクリーンが現れ、霧の中を通るとパピコのチョココーヒー味をイメージしたほのかに甘い香りがする。この施設では「ワクワク感」を大事にするため撮影不可の場所がいくつかあるが、ここもその1つ。その後アイスを-3度まで凍らせ、容器に詰めていく。
アイスクリームを容器に詰める作業は、ロボットもお手伝い。社外で生産されたパピコのビニール容器を膨らませて機械にセットする……という作業があるのだが、これまでは全て人間の手作業だったという。そこに2017年2月、ロボットを導入。約3分の1の省人化につながったそうだ。最終的には、ここで監視する人間を1人にするのが目標とのことだ。
最後に仕上げの冷凍をしたらアイスは完成! この冷凍方法が特殊で、らせん状の冷凍庫で35分かけて凍らせる。これにより、従来は約バスケットコート1面分必要だったスペースが、半分以下で済むようになったという。この「スパイラル急凍」を再現した映像が実はエレベーターの中で流れ、アトラクションのような体験ができる(撮影不可)。また、アイスクリームを保存する-10度の部屋もあり、アイスクリームの気持ちになることもできる。
氷点下で働く「黄色いロボット」
筆者が一番萌えたのは、出来上がったアイスを包装する工程。ここでは、あのファナック社の黄色いロボットが多数働いている。このとき、ロボットは右左と交互に作業をしているだけではなく、センサーを使って補充が必要だと判断する方向へとアームを動かしているそうだ。
面白かったのは、「パレタイザー」というロボットが自分自身が凍り付かないために、50分に1回屈伸運動をしているという話。このロボットがいるのは、包装後の商品を保存するための「保存庫」で、-10度という環境。包装後の商品をパレットに積んでいく作業をするが、常に動き続けているわけではない。そのため、自力で屈伸運動できるプログラムを入れているという。
この施設は、もともと営業活動の一部としてバイヤーなどに見せるためにあった工場。それを大きくリニューアルし、エンタ-テイメント性を持った見学施設へと作り変えた。館長は言う――「なんか、ワクワクしてもらえれば」。
(太田智美)
筆者プロフィール
小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。
大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは2014年11月から、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
太田智美がなんかやる
ITmedia ニュースに配属された太田智美が、テクノロジーの力を信じてなんかやるという新連載。毎日るんるんしながら生きている。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR