総務省、公衆無線LANの規制強化は「まだ白紙」も課題は山積み
「公衆無線LANの規制は議論の結果によりけり。まだ白紙の状態だ」――総務省は11月27日、ITmedia NEWSの取材に対してそう答えた。公衆無線LANは訪日外国人旅行者の増加や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催などから需要が高まっているが、サイバー攻撃などに利用される可能性も指摘されており、総務省は原則として規制を強化する方針とする一部報道もあった。
総務省は「公衆無線LANにはセキュリティ対策が十分でないものもあると認識している」とした上で、規制については「まだ白紙の状態」と慎重な姿勢。11月24日に開催した第1回公衆無線LANセキュリティ分科会では「年度内に一定の結論を出す」としていたが、規制のことを指しているわけではないという。「分科会はあくまで勉強会という位置づけ。省令改正ありきの会とは違い、今後の方向性は意識しても、反映するかどうかはケースバイケース」(総務省サイバーセキュリティ課)
分科会初回は「課題のあぶりだし」
24日のセキュリティ分科会では、総務省から不正アクセスや通信傍受、なりすましのリスクなど、公衆無線LANセキュリティの現状について報告があったほか、構成員として招集された事業者や研究者からさまざまな意見が出た。
インフォシティの岩浪剛太代表取締役はセキュリティと利便性のバランスをクルマの両輪に例え、「どちらかだけが先行しても止まってしまう」と指摘。立命館大学情報理工学部の上原哲太郎教授は「セキュリティとコストとのトレードオフが一番の課題」とした。神戸大学大学院工学研究科の森井昌克教授は「安全」と「普及」のトレードオフに言及し、「普及させることはセキュリティにとっては阻害要件。何について重点的に議論するか、誰を一番に考えるか、それを定めてから議論をした方がいいのではないか」と分科会のあり方そのものに一石を投じた。
さらに富士通サイバーセキュリティ事業戦略本部の佳山こうせつマネージャーやPwCサイバーサービスサイバーセキュリティ研究所の神薗雅紀所長は、安全に利用するために利用者やサービス提供者を啓蒙することの重要性を指摘するなど、公衆無線LANを取り巻くさまざまな課題が浮き彫りになった。
分科会は18年1月下旬までに4回行われ、「課題を整理して検討内容を取りまとめる。その結果、見直すべきものは見直す予定だ」(総務省サイバーセキュリティ課)。議論の結果によっては、公衆無線LAN提供者向けの手引きや利用者向けのマニュアルなどを改定する可能性もあるという。
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