「年齢が高いほど過激な意見を持ちやすい」――富士通総研のレポート「ネットは社会を分断するか?」が話題
富士通総研がこのほどWebサイトで公開した、「インターネットは社会を分断するのか?」と題したレポートが話題になっている。ネット上では左右に過激な意見が目立ちやすく、それによって社会が分断される「分極化」が起きていることが米国ではデータによって裏付けられているが、日本で調査したところ、意見の過激度に最も影響を与えているのは年齢であり、TwitterやFacebookの利用が政治的な意見を過激化させているという証左は得られなかったという。
レポートは、慶応義塾大学経済学部の田中辰雄教授と、富士通総研経済研究所研究主幹の浜屋敏氏によるもの。
ネットが社会を分断しているか調べるためにまず、2017年8月、ネットユーザーにアンケート調査を実施した。「憲法9条を改正する」「社会保障支出をもっと増やすべきだ」「原発は直ちに廃止する」など政治的な争点を10個用意し、賛否を「強く賛成」から「強く反対」まで7段階で答えてもらったところ、結果は中庸的なものが多く、ほぼ正規分布に近かった。
「もしネットの利用で分極化が進むなら、ネットを利用する人ほど分布の両端に位置する」という仮説を基に、政治的な意見の過激度を測定する指標を作り、回答者の年齢、性別や、ネットメディア(ブログ、SNS)、テレビ番組、新聞などへの接触度との関係を分析したところ、過激度に最も大きな影響を与えているのは年齢であり、年齢が高いほど過激な意見を持つ傾向があることが分かったという。TwitterやFacebookの利用も、意見の過激度と有意な正の相関関係があったものの、「その程度は年齢ほどではなかった」としている。
また、ネットを利用しているから意見が過激になるのか、過激な意見を持っているからネットを積極的に利用するのか」を確かめるため、1回目の調査の6カ月後・18年2月に2回目の調査を実施。1回目と同じ質問を使い、過激化の程度を指数化して変化を調べたところ、0.5~1.0ほど変化した人が相当数おり、「分極化している傾向が認められた」という。
ただ、この指数とFacebook・Twitterの利用との間には有意な関係は見られなかったという。また、ブログを読み始めた人たちは、意見が過激化するのではなく逆に穏健化する傾向にあったとし、「今回の調査では、世の中で言われているように、ネットでのコミュニケーションが政治的な意見を過激化させ、社会の分断につながるという証左は得られなかった」としている。
また「若い人たちほどネットで多様な意見に接していることが分かった」とし、「ネットの利用で意見が過激化するなら、ネットに親しんだ若年層ほど過激化しそうなものだが事実は逆だ」「若い人たちの多くは、炎上や誹謗中傷を恐れて、インターネットは真剣な議論をするところではないと考えている」と指摘。「まだ意見が明確になっておらず、ネットに親しむ時間の多い若い人たちで分極化していないという事実は、ネットへの期待を抱かせる」と述べている。
1度目の調査・分析結果はWebサイトで公開済み。2度目の調査結果は、田中辰雄・浜屋敏「ネットは社会を分断するのか-パネル回帰からの考察-(仮)」(富士通総研 研究レポート)として公開する予定だ。
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