キングジムの戦略は「ニッチ」 スマホと連携するスマートボールペン、開発のきっかけは
「万人がそこそこ欲しいものではなく、一部が強く欲しいと思う商品を目指す」──キングジムの亀田登信本部長(常務取締役兼開発本部)は、新製品を披露しながらそう話した。
同社は5月14日、スマートフォンの通知を受け取れるボールペン型デバイスや、市販の水性ペンで書いた文字が発光する掲示板、家電製品をスマホアプリから操作できる卵形のスマートリモコンなど6製品を発表した。
スマホの通知を受け取れるスマートボールペン「インフォ」
キングジムが今回の目玉として披露したのが、スマホに届いたメールやLINEの通知を確認できるスマートボールペン「インフォ」だ。ボールペン本体に細長の小型ディスプレイや通知用LED、バイブレーション機能を備え、メールやSNSなどの通知を表示できる。インフォ本体には通知を40件まで自動保存するため、見逃した通知をさかのぼって確認できる。
ただし、インフォは所有者を識別する機能を持っていない。本体を紛失した場合、インフォ本体に保存された最新40件の通知履歴を他人に見られてしまう可能性もあるので注意が必要だ。
ディスプレイの横にはタッチボタンを備える。ペンを自然に握った状態のまま、音楽の再生や停止、スマホカメラのシャッター操作などを遠隔で行える。スマホの所在が見当たらないときにインフォから音を鳴らしたり、逆にスマホからインフォで音を鳴らしたりといった機能も取り入れた。これらは専用アプリ(iOS、Android)から設定できる。
価格は1万2000円(以下、税別)で、6月14日に発売する。
ボールペンでスマホの通知確認、ニーズはある?
「商談の場面で、通知が来るたびにスマホをチラチラ見る行為に抵抗がある」──キングジムの佐藤賢亮さん(開発本部)はインフォ開発のきっかけをそう話す。
インフォは“ビジネスの現場で満足できる1本のボールペン”であることを目指したという。そこで筆記用具としての性能も重視して開発。ボールペンは赤と黒の2色で、一般的に売られている替え芯にも対応するなど、ボールペン本来の使い勝手にも気を配った。
記者が実際にインフォを触ってみると、金属らしい重量感があり。安定して文字を書けた。左利きモードも備え、ディスプレイ表示を逆向きにも切り替えられる。
水性ペンで書いた文字が発光する「光る掲示板」
看板や非常時の誘導案内などでの活用を見越して開発したのが、市販の水性ペンや蛍光水性ペンで書いた文字が発光する「光る掲示板」だ。
ACアダプターか電池(単三電池5本)で給電しながら使うブラックボードで、LEDによって書いた文字が照らされる仕組み。点灯および2種類の点滅パターンが選べる。明るさも2段階で調節できるため、周囲の明るさや掲示内容によって使い分けることを想定する。
電池駆動の場合は、強い明るさで約10時間、弱い明るさで約20時間の連続点灯ができる。サイズは460(幅)×25(奥行き)×335(高さ)ミリ、重量は約1キロ。防水設計の窓付き専用バッグが付属し、雨の日でも首や肩からぶら下げて持ち運べる。
災害などの非常時に光る掲示板を掲げて避難者を誘導したり、光る掲示板を持って客引きをしたりする場面での活用が考えられるだろう。価格は1万2800円で、6月14日に発売する。
スマートリモコン「エッグ」
「エッグ」はスマホの専用アプリ(iOS、Android)から操作する家庭向けのスマートリモコンだ。赤外線リモコンを使うさまざまな家電を操作できる。操作する家電はあらかじめ登録されたプリセットから選ぶか、手動で学習させられる。
1つの家電を操作する他に、ワンタップで複数の家電を一度に操作できる機能も備えた。例えばテレビと照明を一度につける、エアコンと扇風機を一度に消すなど、一括操作をアプリ上でまとめられる。価格は9800円で、5月31日に発売する。
スマホの普及した環境に対応する文房具を
以上の3製品の他、通知アラーム付き電子メモ帳「カクミル」や「テプラ」のオフィス向け新機種、カスタマイズ可能な卓上収納ボード「PEGGY」(ペギー)などを発表したキングジム。同社の亀田本部長は、現在の文房具が抱える課題をこう説明する。
「今やビジネスの現場でデジタルツールを使うのは当たり前だが、多くの人はアナログ文房具も併用している。従来の文房具はデザインの変化はあるが、デジタルツールの普及した環境には対応できていなかった」
同社はこれまで、クラウドファウンディングを活用して、市場のニーズを探りながら製品開発を進める手法を積極的に行ってきた。スマートリモコンのエッグもそのうちの1つだ。
「ニッチ戦略から製品を開発し、これからも独創的で役に立つ面白い商品を開発していきたい」(亀田本部長)
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