LPWAで足まわりを強化 KDDIの法人向けIoTクラウドサービス戦略
KDDIは、8月から法人向けIoTクラウドサービスにLPWA(省電力広域通信)のメニューを追加する。既に全国展開している4G LTEの基地局を利用し、広いエリアをカバーできるのが強み。同事業を統括するビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏に詳しい話を聞いた。
KDDIのIoTクラウドサービスは2016年に本格スタートした。その中心が「KDDI IoTクラウド Standard」というメニューで、センサーによる定点監視とログの取得などの用途に向けた「LOGGER」コース、Webカメラからのリアルタイム画像転送と保存を中心とした監視用途の「LIVE」コースに大別できる。
センサー中心のLOGGERコースは、監視用途などに使われることが多い。例えばトイレの便座などにセンサーを組み込み、故障診断や予知に使われた事例がある。一方のLIVEコースは、豪雪地帯の鉄道で線路の保守や点検に役立つ監視サービスなどに活用されている。
2017年には、過去の成功事例を切り出す形で「トイレ空き室管理」「ドローン」「工場」など、目的別のパッケージを用意した。その分かりやすさが市場に受け入れられ、「引き合いが増えた」(原田氏)という。
センサーからデータ解析までワンストップ
通信キャリアであるKDDIは、長年に渡り回線や通信モジュールといったネットワーク周辺ビジネスを展開してきた。しかし、IoTやクラウドの時代に通信インフラだけを提供していては他社に“おいしいところ”を持っていかれてしまう。そうした危機感もあり、センサーなどのデバイスからクラウド基盤、データ分析サービスまでを含めたトータルなサービス構築を目指した。
まず17年3月にAWS上でのアジャイル開発に強みを持つアイレットを連結子会社化し、同時期にデータ分析で豊富な知見を持つアクセンチュアと共同でARISE analyticsを設立。19年1月にはセンシング/通信デバイス開発を手掛けるエコモット(北海道札幌市)に出資して関連会社とした上で業務提携している。
現在、KDDIの法人向けIoTクラウドサービスではエコモットと共同開発した2000種類を超えるセンサーなどがそろい、各デバイスで取得したデータはARISE analyticstのツールで分析できる。例えば工場向けの「KDDI IoTクラウド〜工場パッケージ〜」では、製造装置に取り付けたセンサーの情報から故障の予知やトラブル発生時のアラート通知など、必要な機能をワンストップで提供する。
「複数のビッグデータをクロス解析してIoTサービスに役立てようとする試みは世界でもあまり例がありません。IoTサービスに適したデータを整え、クライアントの足元で取得されるデータとつないで分析、有効活用する。こうしたプラットフォーム設計のノウハウこそがKDDIの強みです」(原田氏)
8月、KDDIはKDDI IoTクラウド StandardにLTE-M方式を採用したLPWAプランを追加する。既に全国にあるLTEの基地局を利用するため、広いエリアを対象としたネットワークが構築でき、通信料金やデバイスの消費電力も引き下げられるという。
既に同社が明らかにしている事例として、東洋計器と共同で進めているガススマートメーターのサービス開発がある。各家庭に設置されるスマートメーターで実績ができれば、より幅広いサービスへの適用も考えられるだろう。「低消費電力で通信エリアの広いLPWAなら(業務用機器に比べ)価格が安いスマート家電にも導入できます。ホームアプライアンス機器もIoTサービスとの融合が見え始めました」(原田氏)。
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