エッジコンピューティングとクラウドの「切っても切れない関係」(2/2 ページ)
エッジコンピューティングのキーワードはリアルタイム
ここ最近のエッジコンピューティングで重要となっているのが、「リアルタイム」というキーワードだ。数年前までのエッジコンピューティングは、IoTデバイスから生成される膨大なデータをフィルタリングし、クラウドに適切に渡すことに重きが置かれていた。IoTの膨大なデータを処理するのは、リソースを安価かつ潤沢に用意できるパブリッククラウドの役目だったのだ。
だがここにリアルタイムというキーワードが入ってきたことで、クラウドでは処理が間に合わなくなってしまい、なるべくIoTデバイスの近くで大量データを高速に処理をする重要性が増した。つまり当初のエッジコンピューティングの装置は、どちらかと言えば数多くのセンサーなどを容易に接続できるネットワーク機能に重点が置かれ、あまり複雑で重たい処理をするものではなかった。そのため初期のエッジコンピューティング機器のイメージは、ネットワーク機器のような専用ハードウェアで、「IoTゲートウェイ装置」などと称して各ハードウェアベンダーから提供されてきた。
それに対してここ最近はIoTゲートウェイと組み合わせて、機械学習のアルゴリズムなどを搭載することで、大量に生成されるIoTデータを高速に処理できる強力なサーバがエッジで使われるようになった。
例えばDell Technologiesは、電源から空調装置、サーバ、ストレージ、ネットワークなどをコンテナに詰め込んだ、小型のモジュール型データセンターのようなものもエッジコンピューティングと位置付けている。またGPUなどを搭載する機械学習処理に特化した高性能サーバも、エッジコンピューティングの1つとされることがある。
HPEの場合は、工場IoT向けエッジコンピュータとなる「HPE Edgeline」のビジネスを強化している。これはIoTゲートウェイ装置とエッジで高速に処理するコンピュートの組み合わせで構成される。工場特有のロボットや制御装置などとスムーズに接続できるよう、工場内で使われる専用ネットワークプロトコルなどにも対応する。例えば「HPE Edgeline EL300 Converged Edge System」は、エッジで膨大なデータを処理、分析し、必要なデータだけをクラウドなどに送る専用マシンと位置付けられる。
クラウドとエッジは切っても切れない関係性にある
今後はリアルタイムな処理がエッジ側で行われることになるが、そのためにエッジのサーバで必要となる機械学習アルゴリズムなどは、クラウド側で生成されるのが普通だ。従ってIoTデバイスから生成されたデータは、エッジのリアルタイムな処理とは別に適宜パブリッククラウドのビッグデータ環境などに集められ、そこで分析されアルゴリズムが作られる。そこで得られた結果がエッジ側に随時実装されるのだ。つまり多くのIoTデバイスとエッジコンピューティングは、リアルタイムがキーワードとなりエッジ側に処理がシフトしても、クラウドとは切っても切れない関係性にある。
ところで同じようにオンプレミスにあるプライベートクラウドと、エッジコンピューティングとでは何が異なるのだろうか。
前者は従来の基幹系アプリケーションやWebベースの新しいアプリケーションなどさまざまなものを、オンプレミスで効率的に稼働させるプラットフォームと捉えられる。汎用性が高く、仮想化技術を使い効率的に拡張できるなどが特徴となる。さらに、パブリッククラウドとは基本的に同じアーキテクチャをとることで、さまざまなパブリッククラウドとシームレスに連携できるようにするのもトレンドだ。
エッジコンピューティングの場合は、プライベートクラウドよりは専用性が高くなる。そのため特定の処理に特化するための構成をとる。クラウドとはシームレスな連携より効率的なデータ転送が重視されることが多い。もちろん拡張性も重要だが、高度なリアルタイム処理に重点が置かれることが多い。
違いがあるもののプライベートクラウドとエッジコンピューティングの間に、明確な境目が存在するわけではない。前述のDell Technologiesが提供するモジュール型のコンテナデータセンターのようなものは、プライベートクラウドでもエッジコンピューティングでも使えるはずだ。これ1つで、両方の機能を共有することも可能だろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
3
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
4
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
5
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
6
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
7
「対策を後回しにしたサーバが軒並み狙われている」 相次ぐ不正アクセスにラックCTOが警鐘
-
8
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
9
Anthropic、独自の“創薬活動”に着手 社員1人のバイオ企業を買収、小児難病の治療薬研究を進める
-
10
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR