セールスフォース、新型コロナ対応に苦しむ保健所・企業にCRMなど無償提供 電話対応やテレワークを円滑に
米salesforce.comは3月末、新型コロナウイルス感染拡大の影響で業務に支障が出た企業などに対し、同社のクラウドサービスを期間限定で無償提供する支援策「Salesforce Care」を始めた。日本法人セールスフォース・ドットコムもこのほど同施策を始め、保健所や一般企業の支援に乗り出している。日本法人は4月22日にオンラインで記者発表会を開催し、国内で無償提供するサービスの概要と、施策の意義について説明した。
保健所に業務支援パッケージを無償提供
セールスフォースが特に注力しているのが、新型コロナに関する地域住民からの問い合わせに奔走する保健所の支援だ。同社は3月末に、独自開発したクラウド型の業務支援パッケージを千葉県船橋市の保健所に提供。保健所に健康状態を電話などで相談した人、相談の内容、PCR検査を受けた人と検査結果、陽性だった人とその濃厚接触者――などのデータをクラウド上に記録できるもので、9月末まで無償としている。
同保健所は、クラウド上に集約したデータを分析することで、相談が多い時間帯に人員を増やしたり、職員が相談に応じる際に、地域住民から重要な事項を聞き逃した場合にアラートを発したりといった工夫も可能になったという。
セールスフォースで公共領域の営業部長を務める小暮剛史執行役員は、発表会で「船橋市の保健所はこれまで紙の帳票への記録を行っており、ある部署がすでに地域住民から聞いた内容を、別の部署が再び連絡して質問するなど、情報共有に課題があった」と指摘。
同社のクラウドサービスの導入後、職員が2日程度で利用法をマスターしたといい、「保健所のIT化が急激に進んでいる」(小倉執行役員)と語った。また、新型コロナウイルスの収束などによってサービスの提供を終える場合は、個人情報保護に配慮してデータを適切に消去するとしている。
こうした成果を踏まえ、同社はこのほど、パッケージの無償提供の対象を全国の保健所に拡大した(9月末まで)。提供するのは、業務支援システムの他、CRM(顧客関係管理システム)の「Service Cloud Enterprise Edition」、PaaSの「Lightning Platform Plus Enterprise Edition」など5製品のライセンスだ。
すでに数カ所の保健所から問い合わせが来ているというが、セールスフォースの営業部門だけで全国の保健所をカバーするのは難しいため、数社のパートナーと組んで導入を支援していく。
企業には「Quip」「Essentials」など無償提供
セールスフォースは保健所だけでなく、中小企業などを対象に、在宅勤務への急な対応を余儀なくされた企業への支援も始めている。提供するツールは、文書作成ソフトとチャットツールを組み合わせ、複数人で会議しながらの資料制作を可能にするSaaS「Quip」、CRMの「Salesforce Essentials」など(90日間、以下同)。
米国本社のsalesforce.comが米Tableau Softwareを買収したことから、BIツールベンダーのTableau Japanもこの施策に参加し、データ分析ツール「Tableau Desktop」「Tableau Prep Builder」を中小企業などに無償提供する。
この他、セールスフォースのパートナー企業15社も施策に賛同。電子署名ソリューション「Docusign」、クラウドストレージ「Box for Salesforce」など16種のサービスを無償提供する。
「同じ方向を見ながら働けるように」
セールスフォースの秋津望歩氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー)は「(初回の)緊急事態宣言から2週間が経過し、在宅勤務での難しさがみえてきた。主な課題には、お互いの作業状況が見えにくいこと、業務スピードの低下、心理的不安、孤独・孤立感などが挙げられる。(ツールの提供によって)ビジネスパーソンが同じ方向を見ながら働けるようにしたい」と意気込んだ。
各ツールの無償期間が終了した後も、導入先に継続利用してもらえるよう、セールスフォースは各ツールの利用法を学べるeラーニングツールなどを提供し、サポート面も充実させる方針だ。
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