この頃、セキュリティ界隈で
iOSのゼロデイ脆弱性、「差し迫った危険はない」とApple
iPhoneなどiOSデバイスのメール機能に発覚したゼロデイの脆弱性。この問題を公表したセキュリティ企業によれば、ユーザーが何も操作しなくても悪用される恐れがあり、日本企業の幹部を含む各国の要人が狙われた疑いがある。報告を受けてAppleは、脆弱性があることを確認して対応に乗り出したものの、ユーザーが差し迫った危険にさらされるような問題ではないと反論した。
今回の脆弱性は、米国の新興セキュリティ企業ZecOpsが発見して公式ブログで詳細を公表した。同社によると、脆弱性を悪用すれば、狙った相手に不正なメールを送り付けて大量のメモリを消費させ、悪意のあるコードを外部から実行できてしまう。攻撃を受ければメールが流出したり、改ざん・削除される恐れもある。
確認された脆弱性は2件あり、いずれも実際の攻撃に利用されているとZecOpsは報告する。2018年1月にさかのぼって不審な挙動が検出されたため、詳しく調べた結果、「標的型攻撃に広く悪用されていることを確信した」としている。
標的にされた疑いがあるのは、「北米のFortune 500組織に所属する個人」「日本のキャリアの幹部」「ドイツのVIP」など、6組織や個人。一連の攻撃には、高度な攻撃を執拗に仕掛けるATP集団が絡んでいるとされ、国家の関与もうかがわれるとZecOpsは推測する。特定の国家が、この脆弱性を突くコンセプト実証コードを第三者から購入して利用した痕跡もあるという。
攻撃に使われたメールは被害者のiOSデバイスで受信され、処理されたことがデータで確認された。ところがメールサーバに保存されているはずのメールが見つからないことから、攻撃者が痕跡を隠すために削除した可能性がある。
脆弱性は2件とも、システムコールの不適切な処理に起因する。iOS 13ではユーザーが何もしなくても攻撃にさらされるが、動作が一時的に遅くなるだけで、ユーザーはほとんど異常に気付かない。一方、iOS 12で攻撃を成功させるためにはユーザーにメールをクリックさせる必要があり、メールアプリはクラッシュする。攻撃が失敗した場合は「This message has no content」というメッセージが表示される。
影響が確認されたのは、2012年にリリースされたiOS 6(iPhone 5時代)からiOS 13.4.1までの全バージョン。いずれの脆弱性も、macOSには存在しない。攻撃は2018年1月にさかのぼって検出されているが、それ以前からこの脆弱性が悪用されていた可能性もあるという。
Bloombergによると、この報告を受けてAppleは、脆弱性の存在を確認し、対応を急いでいることを明らかにした。ただし、「徹底調査した結果、ユーザーが差し迫った危険にさらされることはないとの結論に達した」とコメントしている。
脆弱性の悪用については、「メールにおいて3件の問題が特定されたが、それだけでiPhoneやiPadのセキュリティ対策をかわすことはできず、それが顧客に対して使われたという証拠は見つからなかった」とした。
この点についてはZecOpsも、「この2件の脆弱性だけではiOSユーザーに危害を加えることはできない。攻撃者が標的とするデバイスを完全に制御するためには、別の情報流出のバグと、カーネルのバグを必要とする」と認めている。
カーネルの脆弱性については、悪用されればデバイスが完全に制御される恐れもあるとして、調査を進めていることを明らかにした。
Appleは今回指摘された脆弱性に対処するため、「iOS 13.4.5」のベータ版をリリースした。ZecOpsはこれで脆弱性の内容が明らかになり、攻撃が加速する可能性が大きいと判断して、パッチの正式リリースを待たずに脆弱性情報を公表することにしたと説明している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この頃、セキュリティ界隈で
海外のセキュリティ関連ニュースを追い続けている鈴木聖子さんによる、最近のセキュリティニュースブリーフィング。隔週でお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
5
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
6
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
7
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
8
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
9
GMO、攻撃者による情報公開を確認 顧客データ含むか調査中 追加の見舞金も検討
-
10
タイムズカー、お見舞金3000円の算定基準は? パーク24に聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR