Innovative Tech

天空の城を出現させる深層学習技術 動画内の空を入れ替える「Castle in the Sky」

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米ミシガン大学の研究員が開発した「Castle in the Sky」は、映像に記録した空を別のものに置き換える、深層学習を用いた合成法だ。従来の手法では動画撮影時にスマートフォン搭載のモーションセンサーが必要だったが、今回のアプローチでは画像情報のみ使う。

 撮影後の映像編集に使えるだけでなく、ARとしてリアルタイム表示できる。

photo 入力ビデオ(上)天空の城と空を合成した出力結果(下)
photo 入力ビデオ(上)宇宙船と空を合成した出力結果(下)

 合成プロセスは3ステップで行われる。

  1. 映像フレームを入力とし、深層学習ネットワークを使用し空の領域を検出する。セグメンテーションで空のマスク領域を推定する。
  2. 次に、検出した空の領域をテンプレートと入れ替えるため、連続するカメラの動きを推定する。フレーム間のカメラの動きを計算するために、空の領域とその中の物体(太陽や雲など)が無限遠に位置し、前景との相対的な動きがアフィン運動であると仮定している。推定したカメラの動きは仮想カメラに反映し、仮想カメラからのテンプレート画像をレンダリングし実画像と同期させている。
  3. カメラの動きに基づいてただ合成するだけでは、地面やその他の前景物体との不自然さ(色合いや光の加減など)が残る。この課題を解決するため、最後にライティングとカラーリングを調整して、合成結果を調和したものに仕上げる。
photo 本手法のパイプライン

 デモでは、晴れから雨などの天候の変換から、天空の城やスーパームーンの出現などを披露している。色合いやダイナミックレンジが調和しているだけでなく、雷の出現時はその時だけ全体が光るなど、動的な変化にも対応している。

photo 入力ビデオ(左)天気を変換した出力結果(右)
photo 入力ビデオの開始フレーム(左端)、異なる時間で処理された出力画像(右3枚)
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この記事の著者

山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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