この頃、セキュリティ界隈で
パスワード使い回しや「Windows 7」使用、不正侵入を招いた水道システム管理の実情(2/2 ページ)
セキュリティジャーナリストのブライアン・クレブス氏が運営する「Krebs on Security」によると、TwitterやRedditなどのSNSを検索すれば、電力や水道、下水、製造工場などを遠隔操作するリモート管理画面にアクセスできたことを証明する投稿がいくらでも見つかるという。
クレブス氏は今回の事件について、「恐らく未熟な侵入者がオールズマーの水道システムにリモートアクセスするための認証情報を何らかの方法で知り、自分の行動をほとんど隠すことなく、まず見過ごされないほど大幅な設定変更を試みた」と推測する。
では、もっと高度な本格攻撃が仕掛けられた場合でも察知して阻止できるのか。オールズマーは人口約1万5000人の小さな自治体だった。Krebs on Securityにコメントを寄せた専門家によれば、全米には約5万4000もの水道システムがあり、その大多数が5万人以下の住民を対象にしている。大半は遠隔管理される無人施設で、年中無休で24時間IT監視ができる態勢はなく、不正侵入や危険な設定の変更などを検知してアラートを出せるセキュリティシステムも配備されていないという。
「水道施設の運営ではやるべきことがあまりに多く、現状の改善に費やせる時間はほとんどない。それがリモートアクセス側に及ぶこともあり、リモートアクセスのセキュリティ対策や2段階認証の設定といった対策ができるIT担当者がいない場合もある」(マサチューセッツ州水資源局の管理コンサルタント)
そうした実情は米国に限ったことではない。「サイバーセキュリティ問題に対する認識が不十分なだけでなく、予算が不十分なことにも原因がある。これは米国にとどまらず、ほかの国でも同じような状態だ」とポーランドCERTの専門家は言う。
報道によると、米国土安全保障省のサイバーセキュリティ機関CISA長官だったクリス・クレブス氏は10日に米下院の委員会で、「オールズマーは恐らく例外ではなく常態だ」と証言した。「これは彼らの過失ではない。こうした自治体はセキュリティ対策のためのリソースが不十分で、自分たちの施設を守るために必要な収益を確保できていない」とクレブス氏は訴える。
CISAは今回の事件を受け、TeamViewerのような遠隔操作ソフトウェアを使う場合の対策の徹底を促すとともに、サポートが終了して脆弱性も修正されないWindows 7は、サポートが継続しているWindows 10に更新するよう改めて呼びかけている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この頃、セキュリティ界隈で
海外のセキュリティ関連ニュースを追い続けている鈴木聖子さんによる、最近のセキュリティニュースブリーフィング。隔週でお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
4
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
5
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
6
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
7
So-net、会員情報約259万件が漏えい 一部メールサービスではパスワードも流出
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
「自分の個人情報が漏えいした……どうすれば?」 IPAが対処法公開
-
10
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR