Innovative Tech

リモコン付きラケットで自在に魔球 東大と東工大が超音波卓球「Hopping-Pong」開発

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 東京大学と東京工業大学による研究チームが開発した「Hopping-Pong」は、超音波を用い、ピンポン球の軌道を変化させる卓球システムだ。プレイヤーの能力に関係なく、相手に届く手前で急にカーブする魔法のようなボールを打てる。左右どちらに曲げるかを指定できるラケット型コントローラーも開発した

 これにより、初心者とベテランの能力差を埋め、これまでにない幅広い卓球の楽しさを提供できるという。技術でスポーツを拡張するという意味で、こうした技術をAugmented Sports(オーグメンテッドスポーツ)と呼ぶ。

photo システムの概要

 システムは2台の高速カメラ、18台の空中超音波フェーズドアレイ(AUPA)、およびラケットに搭載のコントローラーで構成。2台の高速カメラでキャリブレーションし、ピンポン球の位置を3次元で計測、軌道を予測する。

 空中超音波フェーズドアレイとは、複数の超音波振動子(今回は249個)をアレイ状に配置したデバイス。各超音波振動子を制御し超音波を1立方cm程度の範囲に集束させることで、ピンポン球だけを狙って非接触で音響放射圧を与える。今回は左右から音響放射圧を送るため、AUPAを9台づつ卓球台の両脇に整備した。

photo 高速カメラと空中超音波フェーズドアレイが卓球台の左右に設置される

 ラケットに搭載のコントローラーは、市販のゲーム機(Nintendo Switch Joy-Con)を用いる。ラケットのグリップに装着しているため、握った指を伸ばして操作できる。

 コントローラーで空中超音波フェーズドアレイを操作し、左右どちらのボールをカーブさせるか選択する。Yボタンを押すとプレイヤーから向かって左側の空中超音波フェーズドアレイが駆動し、ピンポン球の軌道が右にカーブする。また、Aボタンを押すと右側のフェーズドアレイが駆動し左にカーブする。

photo ピンポン球が左右にカーブする様子

 有効性を確かめる実験では、軌道を変化させプレイヤーの空振りを誘発させた。ラケット上の思っていた位置にボールを当てられずにミスする行為を繰り返し行うこともできた。

photo システムが誘発した変化球によりミスする相手プレイヤー

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この記事の著者

山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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