CES 2026
現実世界で動き始めたAI――自動運転にロボット、「フィジカルAI」に突き進むNVIDIAのビジョン(2/3 ページ)
「なぜ右折したか」を説明できる自動運転AI
このNVIDIA製オープンモデルの最新例が、基調講演で公開された自動運転AIのAlpamayoだ。フアンCEOいわく「開発に8年をかけた」としており、自動運転のレベル4を見据えたものとなる。もちろんAlpamayoもオープンモデルで、学習データも公開されている。
同AIの最大の特徴は、推論でクルマを動かすVLAモデルにある。センサーデータからハンドルやブレーキを操作するだけでなく、「これからどのような行動を取るか」を推論し、その理由と軌道を教えてくれる。例えば、交差点での右折判断や障害物回避などの場面で、「右折するため、対向車の通過を待つ」と思考できる。運転中にまれなケースに遭遇した場合でも人間のように対処できるという。
Level 2++での公道走行もすでに行っており、独メルセデスの車両のステアリングをAlpamayoに預けてサンフランシスコ内を運転するデモ動画も披露した。同システムは、メルセデスのCLAに初搭載されることが決まっており、「NVIDIA DRIVE AV」とAlpamayoの2つのスタックを同時に走らせることで、安全性を監視・評価できるようになっている。
Alpamayoの性能の裏には「合成データ」の存在が欠かせないという。NVIDIAはシミュレーションに特化したデジタルツインプラットフォーム「Omniverse」のほか、現実世界を再現する世界基盤モデル「Cosmos」を持っており、現実の物理法則を反映した合成データを作ることができる。Cosmosでさまざまな天候、シチュエーション、周辺車両の挙動などを精密に再現した動画データを、実際の人間が運転したデータに加えることで、あまり遭遇しないレアなケースも動画データとして学習に使うことができる。
フィジカルAIの本命は
そしてこの技術はロボット産業につながる。ステージには去年の基調講演にも登場した小型ロボットが2体登場。Omniverse内のシミュレーション環境「Isaac Sim/Isaac Lab」でトレーニングを受けたもので、韓国Hyundaiのブースで話題をさらった米Boston Dynamicsの「Atlas」 から、ヒューマノイドで急速に成長する中国Unitree、重機大手の米Caterpillarなど、複数の企業がNVIDIAのロボティクスプラットフォームを採用している。
2025年の基調講演でロボットの基盤モデル「Isaac GR00T」を発表しており、シミュレーション環境から、合成データの生成、実際のロボットを制御するAIモデルまで一気通貫で提供している。
また、半導体設計や製造業の分野にもフィジカルAIを浸透させようとしている。NVIDIAは5日(現地時間)に独Siemensとの提携拡大を発表しており、EDA(電子設計自動化)やCAE、デジタルツインにAIを統合するとしている。「将来、チップやシステムはエージェントによって設計され、巨大なロボットである工場で製造される。これらはすべて、作られる前にコンピュータ内で設計からシミュレーション、テストまで完了するようになる」(フアンCEO)
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