Microsoft、数万年持続するガラスストレージ「Project Silica」
米Microsoftは2月19日(現地時間)、デジタルデータを石英ガラスに保存する技術を開発する「Project Silica」(silicaは二酸化ケイ素の非結晶質のこと)の進捗状況を報告した。このプロジェクトは、将来の世代に向けて価値ある情報を安全かつ持続可能に保存することを目的に立ち上げたとしている。
人類が生成するデータ量は爆発的に増加しており、その長期保存に対する需要は驚異的なペースで拡大しているが、現在主流のハードディスクドライブや磁気テープなどの既存の記憶媒体は寿命が5年から10年程度と限られており、時間とともに劣化するという大きな問題を抱えている。そのため、重要なデータは定期的に新しいメディアに移行し直す必要があり、持続可能性の観点から限界を迎えつつある。
Project Silicaで開発中のガラスストレージは、電磁波や水、熱、埃に対する耐性が極めて高く、データを数千年から数万年以上にわたって安全に保持できるという画期的なメリットがあるという。一度書き込まれたデータは物理的に変更や上書きが不可能な設計で、偶発的なデータ消失を防ぎ、極めて高いセキュリティが担保されるとしている。
さらに、コースターほどの大きさのガラス板1枚に数テラバイト(映画であれば約3500本分)という大容量のデータを保存できるため、データセンターの大幅な省スペース化にも貢献する。
最近の進捗として、高価で製造が難しい石英ガラスだけでなく、家庭用の調理器具などにも使われる一般的なホウケイ酸ガラスにもデータ保存が可能になったとする論文を科学誌「Nature」で発表した。
データの読み書きには、超高速なフェムト秒レーザーやコンピュータ制御の顕微鏡、情報をデコードするための「Azure AI」を活用している。ガラス内に書き込まれたデータは3次元ピクセルとして記録され、顕微鏡カメラで画像として読み取られる。Azure AIは、その画像から元の記号を推論、解読するために、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いたAzure AIが活用されている。
また、ガラス板を保管するライブラリ自体は電力を消費せず、データが必要な時のみロボットが稼働して該当するガラスを読み取り機へ運ぶため、環境負荷と維持費が極めて低いという。
現在の進捗状況は、プロジェクトの基礎的な研究段階はすでに完了。商業利用が可能な実用化レベルに到達するまでには、今後さらに3~4段階の開発フェーズを経る必要があるとみているものの、完成すれば世界中のデータセンターやクラウドインフラを支える、全く新しい高効率で持続可能なアーカイブ基盤となる可能性があるとしている。
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