エレコムが半固体電池のモバイルバッテリーで他社に出遅れた理由 「超安全を考えていたら……」
PC周辺機器メーカーのエレコム(大阪市中央区)は2月25日、半固体電池を採用して安全性を高めたモバイルバッテリーを3月から順次発売すると発表した。エレコムの公式Xアカウントは同日、「超安全を考えていたら他社に出遅れました」と投稿している。何があったのか。
半固体電池は電解液をゲル化したことで液漏れのリスクを低減。発火事故の一因とされていた可燃性有機電解液の使用量を削減し、内部短絡(ショート)時の可燃性ガスの発生・放出を抑制することで、安全性を高めた。
また従来のモバイルバッテリーのサイクル寿命は約500回だが、化学的安定性が高い半固体リチウムイオン電池は約2000回と従来の約4倍の電池寿命を実現した。使用できる温度の範囲も-15℃から45℃までと一般的なモバイルバッテリー(0~40℃)よりも幅広い。
新機能の「Health Monitor」は、充放電回数をLEDの色で示す機能。およそ250回までは消灯しているが、251回から500回までは青く点灯し、それ以上になると赤くなる。買い替え時の目安として活用できる。
しかし、2000回充放電できるはずなのに、500回程度で赤く点灯するのは早いように思える。なぜか。
この点について同社は「サイクル回数の算出方法はJIS規格をもとに算出している。しかしながら実使用の出力を考えると2000回という数字より早く劣化することが想定されるため、実使用を考えた際の回数と製品をハードに使った際は約2年間で500回に達することが想定される。リサイクル回数以外でも電池は約2年ほどで劣化し始めるため、501回に設定した」と説明している。製品マニュアルでも2年で買い替えを促しているという。
他社に出遅れた背景は?
同社は、22年にリン酸鉄リチウムイオン電池のモバイルバッテリーを、25年にナトリウムイオン電池のモバイルバッテリーを発売するなど、モバイルバッテリーの安全性を高める取り組みを積極的に行っているが、今回はなぜ時間がかかったのか。
一つはセル工場の監査合格に非常に時間がかかったこと。「1つの電池が安全でも量産した際に品質を安定して作れないと結局安全とはいえない。このため工場の管理状態も良く、電池としても従来のリチウムイオン電池より安全な電池を探すのに苦労した」という。
二つめは、従来の電池より本当に安全なのか証明するのに時間を要したこと。実際、従来のリチウムイオン電池も昔のリチウムイオン電池と比べて非常に安定性が高くなっており、試験条件によって発火や発煙もしないものがあるという。「しかしながら従来の電池が発火する条件で半個体電池を試験すると発火するという問題が発生し、電池、設計を一から全て見直して製品化した」という経緯があった。
さらに前述のHealth Monitorを新機能として追加したこともあり、発売までに時間がかかった半固体電池のモバイルバッテリー。「超安全」の背景には、安全優先の開発姿勢があったようだ。
なお、ナトリウムイオン電池のときには表示したくても“対象外”のため表示できなかったPSEマークも、今回はしっかり表示して販売するとしている。
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