エレコムは3月13日、ナトリウムイオン電池を採用した初めてのモバイルバッテリー「DE-C55L-9000シリーズ」を発表した。しかし安全性の高さが売りなのに、製品の底面に「PSEマーク」はない。もちろん違法でもない。
PSEマークは、電気用品安全法(PSE法)にも基づき、電気製品が安全基準を満たしている証明として表示するもの。モバイルバッテリーは、2019年2月からPSE法の全面規制対象となり、丸いPSEマークの表示が義務づけられた。表示のない製品は国内で流通できない。
PSEマークを表示するには、技術基準適合確認として経済産業省の省令に即した試験を実施する必要がある。これには“落下”や“異常高温”など通常の使い方を超える検査も含まれ、製品の安全性を担保する仕組みだ。
エレコムによると、こうした検査は社内で実施済みで、安全性も確認しているという。もともとナトリウムイオン電池を採用したのは、発火しにくく従来のリチウムイオン電池より安全性が高いため。リチウムイオン電池の同等製品に比べ、大きく重くなるものの、安全性を重視した製品にも市場性があると判断したからだ。
それなのに、なぜPSEマークを表示しないのか。
実はモバイルバッテリーには、電気用品安全法のリチウムイオン蓄電池の技術基準が適用される。つまり「リチウムイオンバッテリーを使っていることが前提」(エレコム)。新しいナトリウムイオン電池は「対象外」となり、このため流通の規制も受けずに販売できる。
ただ流通の問題はなくても、何年か後に製品を処分する時には問題になるかもしれない。自治体などにPSEマークがない商品(=品質が保証されていない)と受け取られると、ユーザーは処分に困る可能性がある。
エレコムは「まず地方自治体に相談してほしい。回収が無理であれば、最終的には弊社で引き取る形にする」。現時点で回収方法などは未定だが、処分に困る状況にはしないとしている。
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